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こんにちは。藤井です。毎々ご愛読頂きありがとうございます。

「ヒトナビ」の誕生と共に、いよいよ3年めに入った、組織活性と人材育成コラム。
大変残念ですが、ヒトナビでの更新は、今回が最終回となりました。
長い間、ご愛読戴いてきた沢山の皆様に、心から感謝申し上げます。
本当に、ありがとうございます!!

さて、ちょっとノスタルジーを感じつつ、前回の続き…このヒトナビ最終掲載回です。

前回ご案内した『募集・採用活動で改善したい3つの症状』。

これは、ある意味、『募集・採用活動の進化を阻む3つの壁』と言うこともできます。

3つの壁.jpg

募集・採用活動の成否は、応募者数だけではないし、面接者数だけでもない。

目標どおり採用ができ、採用者数が多くても、
大きなコスト、多くの時間、多大な労力がかかってしまっているなら、
まだまだ進化・発展の余地は残っているわけです。

また、この『進化を阻む3つの壁』は、
組織のしっかりした大企業様ほど、困った状況を生むことがあります。

特に、
「 募集担当 」「 受付担当 」 「 面接担当 」 「 採用担当 」
そして「 導入担当 」「 育成担当 」 、現場の 「 Mgr 」 や 「店長 」 …と

募集 → 受付 → 面接 → 採用 → 導入 → 育成 → 配置 等の各プロセスで

それぞれ “ だけ ” を行う方が分かれている場合は、要注意です。

ある企業様の例で、ご説明しましょう。

企業ブランド力もあり、募集条件も良いので、求人広告の反響はとても良く、
毎回、応募者数も、面接者数もとても多いある企業様。

でも、採用はなかなか進まない…というお悩みを抱えていらっしゃいました。

募集担当者様は「こんなに応募があるのに…」と困っていて、
受付担当者様は「こんなに面接に繋げているのに…」と困っている。

一方で、面接担当者様は、「採用したい人が、なかなか現われない…」と困っていて、
何より、現場の店長様が、「早く採用してくれないと現場が回らない…」と困っています。

採用広報を運用し、求人広告の発注担当ともなっている募集担当者様。
何か変えなければと想いつつ、でも応募者数は多いので…というご状況でした。

結局、「今どきの若者は…」と、時代の変遷を原因と捉え、
更に応募者を増やそうとしたり、採用基準を下げようとするところでしたが、
採用基準を下げてしまうと、また別の課題が生まれてしまいます。

このご状況で、いろいろとヒアリングや取材をさせていただいた私。
「応募者数は減るかもしれませんが、皆さんのお困りは解決できます」。
そう前置きしながら

 ・募集媒体の変更
 ・掲載インデックスの見直し
 ・広告内容の見直し

ご提案させていただきました。

このケースでは、決して「今どきの若者」のせいではなく、
それまでの「掲載媒体」、「インデックス」、「広告内容」では、
「求める人物像」層に届いていなかったことが原因。

毎回応募者が多いことで解るように、人が集まる要素はあるのですから、
「求める人物像」層に届くプランなら、「採用したい人」が応募者になるのです。

ポイントは、「求める人物像」に届け、「求める人物像」の応募者を増やすこと。

ですが、それは、「求める人物像」に届くが故に、
これまで応募してくれた沢山の「求める人物像以外の層」に“届かなくなる”
そんな側面も覚悟しなければなりません。

これは、応募者絶対数が減る…という不安との戦いでもありますが、
それに打ち勝てると、『3つの壁』は乗り越えられていきます。

結果は予想通りでした。
採用者は劇的に増え、大変喜んで戴きましたが、
でも、応募者数と面接者数は、それまでより減少していました。

急激に進む採用の中で、面接担当者様は仰いました。

「今までは無駄な…と言っては失礼だけど、採用に繋がらない面接ばかりで、  割かれていく労力に、なんだか努力が空回りしている感覚でした。」

「今回、面接者数は減ったけれど、面接する人たち皆が、本当に採用したい人材。  なんだか、努力の歯車が噛み合って、面接に掛ける時間が充実しています!!」

応募総数、面接者数にこだわることで、超えられなかった『3つの壁』。
『壁』を越えると、あれほど困っていたことも、あっけないほど改善されます…。


さて、『進化・発展させる採用活動』。

このコラムを長い間お読み頂いた皆さんだからこそ、
最後の最後に、更にもう一歩踏み込んだノウハウをご紹介しておきます。

※クリックすると拡大します


これまで、「KPI指標」と「G-PDCA」で募集・採用活動を進化させる…とご案内してきましたが、
上記は、それを更に推し進めるノウハウです。

イメージとしては、皆さんも飲食店等で目にする『お客様アンケート』や『お客様ハガキ』。
コンビニエンスストア等で使われている『POSシステム』。

多くのチェーン展開企業や、大手流通企業の発展を後押ししたノウハウを、
募集・採用活動にも応用しましょうというわけです。

応募者数、面接者数、採用者数…数値によるG-PDCAサイクルだけでなく、
自社の採用広報のどういう点が成功要因で、逆にどういう改善点があるのか…。

広報内容の成功度合いの検証や、自社や競合の認知やイメージ、
応募者の興味・関心や、更にはその年齢や住まいの構成分布まで…。

この『応募者アンケート』を導入して頂いたお客様の中には、
「募集・採用活動の次元が上がった!!」と仰った方も、いらっしゃいました。2012.6.18

 

今回ご紹介した『お客様アンケート』の具体的な活用法も含め、このコラムの続きは、筆者主催のサイトで、ご覧いただけます。

 

これまでのコラム内容をより深め、人と組織を元気にする、更に多くの情報も更新中。
みなさまの組織の活性化に、ぜひご活用ください。

>アクトナビ 〜コラム一覧〜
http://actnavi.com/category_list/

長い間ご愛読いただきありがとうございました。

進化・発展する採用活動。

前回ご紹介したように、
“ 採用活動に『KPI指標』を定め、『G-PDCAサイクル』を取り入れること ”
で、それは具体的に見える形で進むようになります。

では、『 停滞している採用活動 』 とは、どんな状態なのでしょう。
進化・発展している採用活動とは、逆にある状態…

自社、自店舗の採用活動を進化・発展させるためには、
その状態を理解し、時折、自社・自店舗とすり合わせることも有効です。

というわけで、今回はまず最初に、
“ 『 停滞している採用活動 』で起こりがちな3つの状況 ”を、
敢えて解りやすく “ 症状 ” に例えて、ご紹介しておきます。

改善したい3症状_コラム43

如何でしょうか。

例えば、あるお店で新たに2名採用したいと、
A媒体とB媒体、それぞれ10万円ずつの予算で広告を掲載したとします。

A媒体は、20名の応募者がありました。
対してB媒体は、5名しか応募がありませんでした。

この時、次回からはA媒体で…と判断してしまうのが、
上記症状の1つめ、応募数にばかり視界がある状態です。

面接者数を見ていくと、A媒体は10名。B媒体は5名の面接ができました。
B媒体は、応募者全員がしっかり面接できたのに対し、
A媒体の応募者は、面接辞退や土壇場でのキャンセルが10名もあったのです。

ここでA媒体、ちょっと雲行きが怪しくなってきますが、それでも面接者数は2倍。
まだ、次回からA媒体で…と判断するでしょうか?

では肝心の採用は…と振り返ると、採用した2名は、
A媒体、B媒体、それぞれ1名づつでした。

ただし、B媒体の応募者は、みんな礼儀正しく時間に正確だったのに対して、
A媒体の応募者の中には、数分ですが、面接に遅れてきた方もいました…。


KPIデータ記入表_コラム43

例えば、この場合です。
次の募集で、予算が半分しか取れない・・・という状況としましょう。

みなさんなら、どうするでしょうか?

様々な考え方があると思いますが、セミナー等で同じ題材を扱うと
会場のご意見は大きく3つに分かれます。

 ①やはり、応募数や面接数は多い方が良いので、A媒体に掲載する。
 ②応募者数は少ないが、全て面接につながるのでB媒体に掲載する。
 ③しかたがないので、スペースを半分にして、両方掲載する。

①のご意見では、
「応募時の応対などを工夫し、面接辞退や遅刻などの予防を踏まえて」

また、②のご意見では、「面接辞退者によるスケジュールロスは、忙しい自分にとって大きな負担になる」

③のご意見は、「まだこれだけの材料では解らないので、もう一度それぞれの媒体の様子を見たい」

と、それぞれ、添えられる方がいらっしゃいました。

ここで、みなさんの強い味方になってくれるのが『KPI指標』です。
ちょっと具体的に整理してみましょう。

・応募コスト
 A媒体…10万円/20名=5千円
 B媒体…10万円/5名=2万円

・面接コスト
 A媒体…10万円/10名=1万円
 B媒体…10万円/5名=2万円

・採用コスト
 A媒体…10万円/1名=10万円
 B媒体…10万円/1名=10万円

更に続けましょう。

・面接率
 A媒体…10名/20名=50%
 B媒体…5名/5名=100%

・対応募採用率
 A媒体…1名/20名=5%
 B媒体…1名/5名=20%

・対面接採用率
 A媒体…1名/10名=10%
 B媒体…1名/5名=20%

如何でしょう。
ここまで整理すると、A媒体、B媒体、それぞれの強み、弱みが明確になってきます。

更に見ていくと、3ヵ月後、定着していたのは1名だけだったとしましょう。
確認するとB媒体からの採用者でした。

・定着コスト
 A媒体…10万円/0名=∞
 B媒体…10万円/1名=10万円

・対採用定着率
 A媒体…0名/1名=0%
 B媒体…1名/1名=100%


KPIデータ記入表コスト入_コラム43

こうなると、だんだんご意見が集約されてきます。
そして、こういったデータを数回分蓄積していくことで、
次の募集・採用活動に、より客観的で明確な判断を下すことができるわけです。

今回は、解りやすく「2つの媒体」という要素だけで一例を挙げましたが、
例えば同じ媒体の「特集ページ」と「地域ページ」、「〇〇版」と「△△版」など、
様々なケースもございます。

それらをしっかりデータ化し、ひとつひとつ蓄積してゆく。

KPIデータ分析グラフ_コラム43

それまで勘や感覚で行っていたり、予測しにくかった募集・採用活動が、
より論理的に計画化しやすいものとして、強い味方になってくれます。 2012.06.04

“採用広報の全体フロー”。

今回から、3つめのステップについてご案内を進めましょう。

3つめのステップは、採用活動に『G-PDCAサイクル』を取り入れることによって、
次の採用活動を、進化・発展させてゆくための段階です。

『G-PDCA』については、別コラム「人材育成」の
こちらをご参照頂ければ幸いですが、
このサイクルを採用活動にも応用しましょうというわけです。

アルバイト・パートさんの比率が高い組織やお店では、募集・採用活動の機会が、
数ヶ月ごとにやってくることも、決して珍しくはありません。

であるのなら、前回よりも今回、今回よりも次回…。
採用活動の回数を重ねる度に、そのノウハウを進化・発展させ、
より求めている人材が採用し易くなったり、無駄な時間や予算が削減される…。
そんなサイクルを、ぜひとも実現させたいのは、皆さん共通の想いでしょう。

ここで、ご質問が多いのが『KPI』という考え方。

『KPI』とは、『Key Performance Indicator (キー パフォーマンス インジケーター)』
の略で、もともとは販売や営業などの世界で多用されている考え方です。
販売戦略や営業活動がしっかり前に進んでいるのか、定量化できる指標を定め、
それを測定していくことで、次の打ち手がより明確になる…というわけです。

ここでは採用活動が進化・発展しているのかを定量的に測る “指標” ということで

例えば
・応募コスト(採用予算/応募者数)
・面接コスト(採用予算/面接者数)
・採用コスト(採用予算/採用者数)
・定着コスト(採用予算/3ヶ月以上の定着者数)
等が、挙げられます。

アルバイト・パートさんの人事制度を整えた、ある企業様では、これに加えて、

・戦力化コスト(採用予算/一定の基準を超えて戦力化した人数)

もデータ化し、更により良い採用活動を目指していたりもしますが、

以前ご紹介した「キャリアパス」の設計で、昇給した方を戦力化と定義しての事でした。

このエリア、この職種では、どの媒体で募集をすると、これらのKPI指標が良いのか。
どんなことを打ち出し、どんな写真を使うと、これらのKPI指標が良くなるのか。

それぞれの媒体の得意分野、不得意分野が明確になったり、
求人広告が回を重ねる毎に効果的なものになっていったりします。

言うまでもありませんが、このとき、ひとつだけとても大切なことがあります。

それは、「応募者数」や「面接者数」、「採用者数」や「定着者数」などを、
しっかり具体的に測定し、記録し、データとして残しておくということです。

皆さんは、その度ごとの「応募者数」や「面接者数」などをしっかり測定し、
記録して、データ化していますでしょうか?

 

求人広告を掲載して戴き、応募効果をお伺いしていく際、
「まあまあだね」とか、「今回はちょっと良くなかった」等、
採用できたかどうかだけの把握に止まってしまい、
具体的な応募数や面接数を掴んでいない企業様は、まだまだ多いものです。

そういう企業様ほど、採用でお悩みだったりしていますし、
採用活動を進化させ、発展させるという視点からは、
これは、とても、もったいない状況だとも言えるでしょう。

ここでは、これらを簡易に行えるよう、下記に、

・応募受付時の記入シート
・KPIデータ記入シート

 

の一例を添付しておきます。

 

 

<応募受付シート例>

※クリックすると拡大します

このシートは、募集を始めたら受付電話の横に置いておきます。
電話応対をしながら、このシートに記入。面接日程の予約表にもなります。
面接を完了したら、備考欄に記入。
もし、予約をしたのに面接に現れなかったら、それも備考欄に書きます。
(面接のドタキャン時に、これに記入することで、ちょっとだけ気分転換になって、
気持ちの区切りになると言われたことがあります。)

 

<KPIデータ記入シート例>

※クリックすると拡大します


こちらは、今回ご案内のKPIデータを蓄積していくためのシートです。
応募者数が多くても、採用に至らない。
採用者が多くても、掲載料金が高い。
客観的な、同じ土俵での指標で、どの媒体で、どんなやり方が良いのか本当の姿が見えてきます。
2012.5.23

“採用広報の全体フロー”。

今回も、2つめのステップについて、もう少しだけご案内を続けましょう。

2つめのステップは、媒体を選定し、広告を制作し、実際に広報していく段階です。
『誰に』『何を』『どんな表現で』『どう伝え』、たくさんの『求める人物像』を集めるか。

前回の、 “ 天の利、地の利、時の利、人の利 ” と “ 彼を知り己を知れば… ” を
引き合いに出した4つのポイント。
これらを押えながら、『どの媒体で』『どのように』掲載して採用を成功させるか。

それを具体化していくのが、
前々回ご紹介した図の中ほどにある、
『ポジションニング』から
『コンセプト設計』『媒体・出稿戦略』『原稿内容・訴求戦略』と
トライアングルに並んでいる部分になります。

『ポジションニング』では、募集採用活動における
 ●“強み”や“弱み”
 ●“魅力となる要因”や“課題となる要因”
応募者がその仕事をする上での
 ●“メリット”や“デメリット”
などの視点で整理していきます。

もちろん、これらは、『求める人物像』や『採用ターゲット』の立場に立ったものであり、
この時こそ、前回の “ 彼を知り己を知れば… ” で押えたことの出番でもあります。

もう一方で、
 ●企業・組織面…自社や自店舗、自組織自体の強み、弱み、魅力、課題
                (歴史や知名度などのハード面と、風土や組織文化などのソフト面)
 ●仕事面…仕事自体の魅力、強み、弱み
 ●待遇・福利厚生面…給与や勤務時間、福利厚生や人事制度上の強み、弱み
 ●生活面…この仕事をすることでの日々の生活上のメリット、デメリット
なども、より深く掘り下げるために、よく活用している視界です。

これらを踏まえ、いよいよ『どの媒体で』『どのように』掲載し、
たくさんの『求める人物像』を集めるのかの具体化。

それが、
●「誰に」「何を」「どんな表現で」「どう伝え」るのかの骨組みを決める『コンセプト設計』
●「媒体選定」だけでなく、「インデックス選定」や「メディアMix」、
 広告スペースや連続性等の「出稿量」と、「時期」「スケジュール」を
 決めていく『媒体・出稿戦略』
●「何をどんな素材で」と、「どんな表現でどう」伝えていくのかの『原稿内容・訴求戦略』
このトライアングルの部分になるわけです。

さて、この2つめのステップで、よくご質問を頂くのが『採用USP』という言葉です。
このご説明には、ちょっとだけ広告業界の考え方もご案内しなければなりません。

『USP』とは、『Unique Selling Proposition(ユニーク セリング プロポジション)』の略で、
簡単に言えば“ 商品や店舗の独自の強み ” のことです。

“お客様が自社の商品を買う独特の理由”
“お客様に自店舗が選ばれる理由”と考えても良いでしょう。

代表的な例では、“お口で溶けて手で溶けない” あのチョコレートや、
“吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機” のあの電気機器メーカー
“熱々の手作りピザ”を “30分以内にお届け!!” のあのピザチェーン…。

 

最近では、排気が空気清浄機なみに清潔で、吸引音が静かな掃除機を、
“赤ちゃんが寝ていても、安心してお掃除できる”
と売り出していたのもありました。

『USP』を明確にすることで、なかなか売れなかったものが劇的に売れた。
田舎町の小さなお店が、世界的な大企業になった。
マーケティングや広告の世界では、そんな沢山の事例とともに、
広く活用されている考え方のひとつです。

この『USP』を、募集・採用活動に応用したのが 『採用USP』 。
募集・採用活動での “ 自社や自店舗の独特の強み ”
採用ターゲットとなる応募者が “ 自社、自店舗を選ぶ理由 ” …というわけです。

ユニークとは、他に類を見ない、独自の。

セリングは、売りとなる。

プロポジションは、提案、主張…の意がありますが、
結婚を申し込む時の “プロポーズ(Propose)” とも近い言葉です。

これは、募集・採用活動の中で味わうあの想いとも相通じていて、
『採用USP』 という言葉に、どこか奥深さを感じさせてもくれます。

“採用広報” の2つめのステップでは、この 『 採用USP 』 を
明確にすることが、とても大きな役割を担っています。

以前ご案内の 『 応募者を増やす人事担当者 』 や 『 人を集めやすい店長 』。
更に以前ご案内の『 採用力 』 を構成する“企業力・お店力”、“募集条件・処遇”。

これらのひとつひとつに着手することで高まった 『 採用力 』 を、
実際の広報活動の中で結果・成果に結びつける架け橋。
それが、この 『採用USP』でもあるのです。

『USP』を明確にすると、売上が上がる。
同様に、 『採用USP』を明確にすると、応募効果が上がります。

みなさんの組織やお店の『採用USP』。
ぜひ、明確にしてみては如何でしょうか。  2012.5.10

“採用広報の全体フロー”。

前回、大きく3つのステップに分けて…とお伝えしましたが、
今回は、2つめのステップへ入る時に押えておきたい4つのポイントです。

2つめのステップは、媒体を選定し、広告を制作し、実際に広報していく段階です。
『誰に』『何を』『どんな表現で』『どう伝え』て、たくさんの『求める人物像』を集めるのか。

この時、視界に入れ、押えておきたいのが、
 ・採用環境
 ・ターゲット動向
 ・競合他社の動き
 ・メディア特性
の4つになります。

これらのご案内で、私は時折、“孟子”や“孫子”の言葉を
引合いに出すことがあります。まさしく、
“ 天の利、地の利、時の利、人の利 ” を計り、
“ 彼を知り己を知れば… ”で、
募集・採用活動も “ 百戦殆うからず… ” にしましょうという例えです。


採用環境を押えることは、“天の利”“地の利”“時の利”を計ることに繋がります。

ここでの “ 天の利 ” は、社会的要因。
社会情勢の変遷や長期的な採用動向。数年単位の変化です。

これはどの企業や組織にも共通するので、ちょっと具体例も挙げておきましょう。

 ●有効求人倍率   2005年からの推移は0.95→1.06→1.04→0.88→0.47→0.52→0.65

 ●非正規雇用比率の推移   1982年16.9%→2002年32.0%→2011年35.3%

 ●労働基準法、パートタイム労働法、最低賃金法、労働者派遣法等の法律改正の変遷

 ●「重厚長大」から「軽薄短小」、「画一性」から「多様性」、「もしもし」から「いいね!」、
  “セーフティネット“から“自己責任”“自己責任”から“絆”、などの時代の変化

 ●「クルマ・ステレオ」から「ケータイ・PC」、
  「社会の中の自分」から「自分の中の社会」、
  “滅私奉公”から“自分らしく”、“自分らしく”から“自分サイズ”などの
若者意識の変化

他、さらに長期的な少子高齢化や労働人口減少の進行を押える場合もあったりします。

広報活動は、社会情勢や時代の変化に合ったものでなければなりません。
だからこそ、まず大きな時代の流れを押えておくわけです。


そして、“ 地の利 ” は、地域的要因やエリア環境、通勤の利便性です。


 ●地域的な人口構造や産業構造要因

 ●近隣の大学、専門学校分布

 ●人気エリア、不人気エリア

 ●勤務可能求職者の絶対人口

 ●競合の激しさ

 ●乗り継ぎや駅からの距離などの利便性

 広報活動は、地域性やエリア環境に合ったものでなければなりません。
よって、地域的要因を押えておくことも大切です。


“ 時の利 ” は、時期的要因です。

天の利よりも、もっと短期的な、月単位、週単位の採用動向です。
これは、これから募集活動を考える方を一例として、下記に整理してみましたが、

ターゲット層の採用動向の中で、今はどんな時期なのか

 ●もう数週間ずらすとボリュームゾーンがやってくるなら、この募集はずらせないのか

 ●さらに、ボリュームゾーンを利用して、採用活動をより計画的にできないか
  等を押えることに繋がります。

せっかく広報活動をするなら、最善の“時”を計りましょう…というわけです。

    ▼求職者の年間の動き(表をクリックすると別ウィンドウで開きます)


次に、ターゲット動向ですが、これが、ここでの “人の利 ” にあたります。

 ●設定した『求める人物像』は、どんなことに興味関心があり、どんな理由で仕事を探し、
  どんな理由で応募を決定しているのか

 ●仕事探しにはどんな情報源を活用し、どのくらいの期間を費やしているのか…

 ●アルバイト経験率はどのくらいで、週何日、何時間くらい働けるのか…

 ●人気職種はどんな職種で、経験職種はどんな職種が多いのか…
  さらには、前述の “ 時の利 ” での図も再活用しながら、活発に動く時期はどうか…

ここまでくるとお気づきかもしれませんが、“採用広報”もマーケティングのひとつ。
ターゲットの動向を押さえ、合ったものにしていくわけです。


さらに、競合他社の動きは、まさに “ 彼を知り己を知れば… ” でしょう。

 ●採用活動上で競合しているところはどこなのか

 ●どのくらいの給与、どんな待遇で募集しているのか

 ●どのくらいの頻度で、どんな媒体に、どれくらいのスペースをかけているのか

 ●何を訴求し、どんなやり方で募集しているのか…

 ●それは、自社、自店舗と比較してどうなのか…

採用上でどうしても競合してしまう他社や他店の動きを押えることで、
自社、自店舗のより有効な打ち手や、より差別化となる要因も見えてきます。

そして、最後にメディア特性です。

孫子の言葉で準備をしたら、いよいよどのくらいの力で、どう戦うかを決める。

 ●『求める人物像』や募集職種とメディアの相性。どのメディアが、どの層に強いか。

 ●募集地域とメディアの相性。どのメディアが、どの地域で強いか。

 ●メディア自体が持つ媒体力。もちろんコストパフォーマンスも重要な要素です。

採用広報の上で、強力な味方になる各種メディア。
得意分野、不得意分野を知ることで、最善の布陣を組みましょうというわけです。


“ 天の利、地の利、時の利、人の利 ” を計り、
“ 彼を知り己を知れば… ”で、
募集・採用活動も “ 百戦殆うからず… ” にする。

前回、桜の樹に例えてご案内したように、“ 百戦殆うからず…” の採用広報の為に、
根を更に深く伸ばし、広く張り出させていくのです。  2012.04.26


前回までご紹介した『人を集めやすい店長』 と 『人を集めにくい店長』。

このシリーズは“採用広報”以外の視点も含めると、全部で10個ほどに整理されています。
これらは、また別の機会にご紹介したいと思いつつ、
今回は、いよいよ、“採用広報”の全体フローのご案内に移ります。


「採用力」を高めるための3つめの要素、『採用活動力』。
その2つめのポイントとしてご案内している、“採用広報力”。

全体像をご案内する前に、意図あって、3回ほど遠回りをしました。

“採用広報力”と聞くと、まず、「かっこいい洗練されたデザイン」とか
「練りに練られた珠玉のキャッチコピー」などを
思い浮かべてしまう方は多いことでしょう。

または「沢山のユーザーを持つ強い媒体力」とか、
「高度なノウハウを駆使した企画」などでしょうか。

“採用広報力”の発揮は、いわば「媒体選び」や「高度な企画」、「広告表現の工夫」。
そう考え、そこだけに終始してしまっている方や組織は、まだまだとても多いようです。

確かに、デザインやコピーが良い広告の方が見栄えは良いですし、
弱い媒体よりも強い媒体の方が、広く沢山の求職者の目に届けることができます。

では、「珠玉のキャッチコピー」をちりばめ、「かっこいい洗練のデザイン」の広告を
「高度な企画」で「強い媒体」に出しさえすれば、必ず沢山の応募者が集まる…
かと言えば、必ずしも、それだけではないですよね。

そもそもの話として、「珠玉のコピー」をちりばめた「洗練されたデザイン」の広告や、
「高度なノウハウを駆使した企画」が生まれてゆく、その『背景』…
どんなに「強い媒体」の中でも、埋もれたり、引き立て役にならないその『基盤』…
今、ちょうど旬を過ぎつつある“桜”の花に例えれば、その『根っ子』にあたる部分。

ここを育むことの大切さを、
この後ご案内することの前提として、先にお伝えしておきたかったわけです。

前出の“桜”でいえば、大きな樹ほど、『根っ子』はより広く、深く張り出しています。
そして、『根っ子』がしっかり元気でなければ、幹も太くなれず、樹丈や枝葉も伸びず、
たくさんの綺麗な花を咲かせることもできません。

同様に、何もないところから応募者を集める、魔法のようなコピーやデザイン。
それに掲載さえすれば必ず応募者が押し寄せる、奇跡のような媒体。
そういったものが、どこかにあるわけではありません。
「強い媒体」の中で勝ち残る「珠玉のコピー」や「洗練されたデザイン」、
「高度な企画」が生まれるのは、しっかりとした背景と基盤があってのことなのです。

更にもう一歩踏み込むなら、しっかりとした背景や基盤が故に、
あえて「等身大のコピー」「泥臭いデザイン」「基本通りの企画」の広告になり、
その方がより高い応募効果に繋がる…そんなケースも多々あるほど。


まず、ここをしっかり押えた上で、
いよいよ、お待たせしていた“採用広報の全体フロー”に移っていきたいと思います。

採用広報力.jpg


これも、上記に整理してみましたが、
大きく3つのステップに分けて、順にご案内していきましょう。

まず、1つめのステップですが、以前、このコラムでもご案内した、
『採用目的』『採用目標』『求める人物像』等が
またまた登場していることにお気づきでしょうか。

“目的”を整理して募集・採用に向かうエネルギーを高める。
“目標”を定めて、より具体的にイメージする。

募集・採用の重要な入り口であるこれらのポイントは、
それをどう実現するか…の具体的活動のひとつである
“採用広報”の源流としても重要だったわけです。

それぞれについては、『採用目的』については
こちら、『採用目標』についてはこちら
『求める人物像』については
こちら…で、再度ご確認頂ければ幸いです。

では、この源流を、どう大きな流れにし、大河に変えるか…
このあたりも含め、次回は2つめ以降のステップへ、ご案内を進めていきます。 2012.04.19

『人を集めやすい店長』 と 『人を集めにくい店長』 。

この項では“ 採用広報力 ”の視点から…ということで、
最後にもうひとつだけご紹介しておきましょう。


3つめのご案内、それは、
『自ら充実し、活き活きしている店長は、人を集める!!』 ということです。


これも私の体験で恐縮ですが、今回は私が二十代半ばだった頃のこと。
ちょうど私が初めて部下を持ち始めた時期の出来事です。

ある日、ひとりの新人メンバーが、相談にやってきました。
あるお客様に掲載して頂いた求人広告で、応募効果が全くないとのこと。

早速、その原稿を見せてもらうと、
当時の最小サイズの広告枠で、募集データは平均的。
記載は基本どおりなのですが、サイズが小さいため
入る文字量の限界もあるのか、訴求ポイントが少ない。

応募効果に繋がる決め手に、確かに欠ける原稿内容でした。

改善点についてメンバーと話していくと、どうやら取材が浅い様子。
よし、この機会に、原稿提案の基本を教えよう…
ヒアリングや取材の仕方、コンセプト設計や原稿戦略も…。

私は逆に、ちょっとわくわくしながら、改めて一緒に再取材に行こうか、と提案。
早速お客様に約束を頂き、メンバーと二人、その日のうちにお伺いすることにしました。


その道すがら。
メンバーとの会話の中で、ちょっと気になることを耳にします。

「そういえば、店長、今月いっぱいでお店を辞めるらしいんです」
「えっ、どうして…」と私。
「なんだか、自分のお店なのに、問題点ばかり言ってましたし…」

嫌な予感がよぎります。

そうしてお会いした店長は、温厚で気さくな方。
聞けば、ちょうど当時の私と同じ歳。
同学年ですね…と早速意気投合。

若くして店長を任されるだけあって、人当たりの良い、しっかりした印象の方ですが、
でも、とてもお疲れの様子。

会話は進んでいきますが、どうにも覇気がありません。
その上、言葉の端々から、なんだか否定的、消極的なものまで滲んできます。

「店長、毎日しっかり寝ていらっしゃいますか?」
それまでの会話の流れから、私から必然的に出た言葉。

その言葉をきっかけに、話は募集や採用を大きく逸れ、
再取材のはずの場は、店長の想いを聞く場へと、みるみる変わっていきました。

なかなか休みが取れない。
昨日は、数時間しか寝ていない。

こんなに過酷な状況の中、アルバイトがまた辞めてしまう。

時給を上げたいが、会社の規定で上げられない。

そもそも、うちは教育体制が整っていない。

上司は売上のことばかり言う。

先輩たちも辞めていく…。


同じ歳、同学年ということもあったのかもしれません。
同じ部下を持つ身ということもあったのかもしれません。
初対面の私に、延々と想いを語る店長。

私もいつしか仕事を離れ、同い歳の一人の人間の想いを、
ただ真正面から受け止める一人の人間になっていました。


この話には、ちょっと素敵な後日談があるのですが、
ここでお伝えしたいのは、採用活動に携わる方自身の充実度、満足感です。

ご紹介した例はちょっと極端かもしれませんが、
採用担当者や店長自身が、疲弊していたり、沈み込んでいたりすると、
採用活動は、どうしても歯車のかみ合わないものになってしまいます。

掲載スペース…まぁ一番小さいので良いよ。
お店の魅力…あまりないから。
仕事…きつい…。
時給…低いでしょ。(上げたいんだけど、規定があって…)

伝わりやすいよう、敢えてこういった部分だけ羅列してみましたが、
ご紹介したケースでは、最初の取材で、こんなやり取りもあったそうです。
そして、新人のメンバーが決め手に欠ける原稿を制作した要因のひとつも、ここでした。

どんなに一流のシェフでも、素材と調味料がなければ美味しい料理は創れません。
同様に、これでは効果の高い採用広報に、なかなか結びつくものではありません。

自社や自店舗への深い想い。商品やサービスへの愛着。
日々の仕事の中での充実感、達成感。
仕事をする環境、日々を営む場としての充足感、満足感。

採用広報力を発揮する上でも、
採用担当者や店長自身がそういったものに満たされているからこそ、
初めて得られるキーワード、本物の素材、珠玉の調味料というものがあるのです。
シェフに沢山の素材と調味料を用意し、どんな美味しい料理が…とわくわくする。

そんな成功する採用広報活動のためには、
『採用担当者や店長自身が充実し、活き活きしている』
これは、欠かせない要素のひとつです。  2012.03.22

採用力を構成する3つの要素の中で、最も手を打ちやすい “ 採用活動力 ”

その“ 採用広報力 ”の視点を通した、 『人を集めやすい店長』 『人を集めにくい店長』

前回に続き、2つめにご案内したいのは、
『溢れる情熱で、熱く語る店長は、人を集める!!』 ということです。


これも私の体験で恐縮ですが、まだ私が二十代後半だった頃のこと。

今回の主役は、お店の店長ではなく、部門マネジャーの話ですが、
共通するところは沢山ある…という前提で、ご紹介したいと思います。

駅から程近い、真新しいビルの11階。
だだっ広い、フロアと外の景色だけの、まだ、本当に何もないオフィス。
初めて、その方…以下 「 Aさん 」 と記しますが、出会いは、そんな場所でした。

アメリカでは既に大手の、ある企業様の日本進出。
Aさんは、その創業メンバーの一人として、部門の立ち上げを任され、
これから、150名以上のスタッフを新たに採用していかなければならない…
そんな使命を語ってくれました。

私が痺れてしまったのは、その真摯さ、切実さ、そして、熱さでした。

当時、求人広告の営業担当でしかなかった私ですが、
おそらく、そんな私に会うためだけに準備したであろう資料と、その説明の充実度。

その企業のアメリカでの創業の生い立ちから、沿革、成長の歴史。
自分達が顧客に選ばれるために何をし続け、どの時点でギアやステージが変わり、
そしてなぜ日本進出に至ったのか…。

的確な資料で、そういった説明が長く続いた後、
今度は、Aさん自身の話に続きます。

Aさん自身の経歴。アメリカに渡った時の、この企業の商品とのめぐり会いの物語。
急速にファンになり、惚れ込んでしまう中で、偶然出会った日本進出の話。

そこに参画できた幸運…だからこその、Aさん自身のこの事業に懸ける深い想い。
そして、これからお客様になるであろう、まだ出会ってもいない沢山の人たちへの、
使命感にも似た熱い感覚まで…。

私は、あれこれAさんと話すうちに、
たった数時間で、この企業のファンになり、Aさんのファンになり、
そして、この採用を絶対成功させる!!という強い信念でいっぱいになっていました。

その後、限られた予算の中、私は何度も徹夜をするほどに、のめり込みます。
そうして実現した企画は、当時社内で前代未聞とまで言われたものに。

練りに練って掲載した複数の広告と共に、巻頭編集記事1ページのタイアップ。
更に媒体の表紙にも掲出。その上、媒体広告の電車の中吊や駅張りでも紹介。

当然、応募効果は凄まじく、しばらく後、本当に何もなかったオフィスは、
沢山の新しい机や機器と共に、沢山の新しいスタッフで埋め尽くされていきました。

もちろん、編集や広報はじめ、多くの人の協力と共感がなくては実現しない企画。
ですが、その多くの人を突き動かしたのは、まさにAさんが熱く語り続けた沢山の言葉と
出会う人すべてに燃え移るほどの、溢れる情熱です。


『いやいや、プロなんだから、いろいろ話さなくても、良い提案してくれなきゃ…』
『営業担当なんだから、全てのお客様にそういう提案するのが仕事でしょ』

このコラムを読んでいる方にこそ、またまたお教えします。
採用担当、店長として、実は、これも禁句です…。

広告の営業担当が、より良い企画を…と徹夜を重ねてまで、のめり込んでいる姿。
その姿の奥には、店長様や採用担当者様の、溢れる情熱が燃え移っているものです。

そして、溢れる情熱で語る沢山の言葉。

その沢山の言葉の中にこそ、より良い広告になる素材、より良い企画になる素材、
より応募者の心に伝わる素材が鏤められていて、
その後の企画設計や広告戦略も、一歩も二歩も先に進むことができるのです。

「お客様のファンになろう!!!  ファンになる程、より良い広告が創れる!!」

時折、新人たちに語ってきたことですが、
逆から言えば、自社、自店舗のファンになり、その魅力に痺れた営業担当は、
おのずと沢山の応募者にそれを伝えたくて、ウズウズしているものです。

広告の営業担当に、より良い企画や提案をさせてしまう店長や採用担当者。
共通しているのは、溢れる情熱で、あれこれと、熱く語ってしまうことなのです。


そして、これは、応募者の立場でも同じです。

Aさんは採用したい応募者に会うと、思わず、私の時と同じ位、熱く話をしたそうです。
時折面接が長くなり、周りに閉口されたこともあったそうです。

しかし、だからこそ新しいスタッフたちは皆、入社したてにもかかわらず、
自社の生い立ちや沿革、Aさんという人とその熱い想いまで良く知っていて、
まだ日本で創業していないにもかかわらず、既に自社のファンになっていたのでしょう。

『うちのお店は〇〇の想いで◇◇にこだわっててね、将来はこんなお店にしたくて・・・』
と、面接の中に織り交ぜて、熱く語る店長と、
『で、いつから始められますか。希望の時間帯は。』
と、通りいっぺんで、あまり語らない店長。

どちらが応募者の入社意欲を高め、どちらが人を集めるのか、
ここまでくると、もうお分かりのことでしょう。

いや〜。でも、僕は口下手で…。
そんなご相談も時折いただきますが、そんな時は、
社内やお店のエースの方に登場していただくという手もあります。

エースとして活躍している方ほど、社内やお店の良い点や、こだわっている点、
そして、やりがいや充実感、達成感を味わっている点が明確なことが多く、
これから新しい後輩が…という時には、活き活き楽しそうに話してくれるものです。

その上、活躍し戦力になっている方だからこそ、店長とも強い信頼関係があるはず。
応募者が、二人の関係性を見て、だから入りたくなった…という例もありました。


『溢れる情熱で、熱く語る店長は、人を集める!!』
さぁ、わくわくしながら、よりいっそう積極的に取り組んでみませんか? 2012.03.07

採用力を構成する3つの要素の中で、最も手を打ち易い “ 採用活動力

その2つ目のポイント
“ 採用広報力 ” の視点を通した、
 『人を集めやすい店長』 『人を集めにくい店長』

前回のQ&Aリスト・・・みなさんは、如何だったでしょうか。

これまでセミナーや研修などで、このQ&Aを行ってまいりましたが、
参加企業様や、新任層かベテラン層かにもよりますが、
100点以上の店長様は、100名いらっしゃってもほんの数名。
合格点の85点以上の店長様は三分の一から半数弱・・・というのが平均的です。

もちろん、とても優秀な回もありますし、まったく逆の回もございますが、
大切なのは点数の良し悪しでただ終わってしまうのではなく、
これらの質問を通して、店長である自分自身の強みや弱みを整理することです。

強みは更に強化して、自社・自店舗の募集・採用活動の武器にしたいところですし、
弱みは優先順位をつけて順に改善したり、課題化して計画的に解決してゆくことで、
採用力は着実に向上させることができます。


ではこれらの質問が、どうして “ 採用広報力 ” と繋がっているのか?

これも奥深いものがあるのですが、限られた紙面ということもあり、
この項では、まずポイントの1つめに絞ってご案内させて頂きましょう。


まずご案内したいこと、それは、

『自社を知り、自店舗を知り尽くす店長は、人を集める!』ということです。


私の体験で恐縮ですが、以前、こんなことがありました。
自宅のポストに綺麗な封筒入りの広告が入っていたのがはじまりです。

自宅の近くに、新しくレストランがオープンしたらしく、
広告には、お洒落なお店の外観と共に、

「〇〇産のこだわり新鮮素材」
「自家製有機野菜」
「〇〇へ行って自ら調達したワイン」
「〇〇ホテルで〇年修行したシェフが…」とありました。

おっ、いよいよこういうお店が…と広告に誘われ、ちょっとわくわくして家内と訪れると…

お店は、殊のほか混み合あい、
広告のイメージを裏切ってかなりざわついていました。
それでも席が空いていたので入口で待ちますが、
なかなかお店の方は来てくれません。

こちらから声をかけ、やっと席に案内されるも、
なんだかぎこちなく慌しい接客です。メニューについて質問すると
「聞いてきます…」と、その都度、厨房と往復するスタッフ。

注文した料理もずいぶん待たされ、先に出された冷えたワインは温まってしまいました。

その上、食事中にポイントカードの入会勧誘が始まり、その安さばかりを強調され…。

広告とは、ちぐはぐな店だなぁ…と、近所にも関わらず
そのお店から足が遠のくうち、一年も待たず、そのお店は閉店して、
新しく美容室に変わってしまっていました…。

綺麗な封筒にInvitationの文字。
お洒落な外観と、美味しそうな料理やワインの写真。

このお店は、オープンにあたり、“ 広報力 ” としては成功していたのだと思います。
お金をかけポスティングした沢山の広告は、私をはじめ、店にわくわくする人を集めました。
オープン直後にも関わらず、確かに混みあうほどの反響があったのです。

けれど、たったひとつのポイントだけが疎かでした。
その広告によって
『自社・自店舗が選ばれる理由を知り尽くし、大切に育む』ということが。

求人広告でも、同じことが起こります。

みなさんは、求人募集の際、応募者のなかの、以前ご案内した『求める人物』が、
自社・自店舗に応募する理由、働き続ける理由を、しっかりと整理できているでしょうか。
そして、それを大切にし、育み続けているでしょうか。

近隣の“あのお店”や“そのお店”と比較して、自店舗は〇〇が魅力なんだよなぁ。
これが、せめて5つ以上挙げられるかどうか。

「いやいや、それは、求人広告の営業担当者の仕事でしょ」

そう言われて、働いている方々に取材を申し込んだり、
座談会やアンケートを実施して、採用担当者様や店長様の替わりに
体系的に整理させて戴いたこともありましたが、多くの場合、
応募者が集まっても、先程のレストランの事例のように、ちぐはぐなことが起こります。

次の面接や導入段階で、応募者は、私が感じたような感覚を味わってしまうのです。

『広告の営業担当者なんだから、この店の魅力を考えるのは、あなたの仕事でしょ』
『自社らしさとか特に要らないから、とにかく応募者が集まるような広告を創って』

このコラムを読んでいる方にこそ、お教えします。
採用担当、店長として、実は、これ禁句です。

確かに、外部のプロが、客観的に取材し体系化していくメリットは沢山あります。
しかし、そのメリットを活かす大前提は、

採用担当、店長自身が、自社・自店舗の魅力や強みを、自ら知り尽くしている、
若しくは、自ら徹底的に知り尽くす努力を惜しんでいないことなのです

日々の店舗運営の中で、自店舗で何が起こっているのかをよく観察する。
スタッフたちがわくわくしている場面、目を輝かせ活き活きしている場面を大切にする。
自社らしいなぁ、自店舗らしいなぁ・という出来事やシーンに敏感になる。
スタッフとのコミュニケーションでは、やりがいや働き続ける理由も視界に置いて…

『人を集めやすい店長』 に共通しているのは、こういった積極的な姿勢です。

それはお店のスタッフのみならず、広告を見るユーザーや面接者にも伝るものです。
だからこそ、求人広告と実際の現場の姿に一貫性を持たせ、採用活動の軸が創られ、
お店自体をも、ますます 『人を集めやすいお店』 に発展させていくのでしょう。


『自社を知り、自店舗を知り尽くす店長は、人を集める!』
さぁ、わくわくしながら、よりいっそう積極的に取り組みませんか? 2012.02.22

採用力を構成する3つの要素の中で、最も手を打ちやすい “ 採用活動力 ”

最初にご案内した “ 採用活動への投下資源 ” に続いてのご案内は、
 “ 採用広報力 ” についてです。

想えば、今ほど “ 採用広報力 ” に大きく差がつく時代は、かつてなかったと言えるでしょう。
求人媒体は本当に多種多様になり、そのチャネルも急激に増えてきました。

私が新人の頃は、アルバイト採用の求人媒体といえば、
いくつかの有料求人情報誌が主流でした。
アルバイトを探すユーザーは、書店やコンビニで情報誌を買っていました。

しかし、有料求人情報誌に変わって、無料で手に入るフリーペーパーが台頭し、
企画型の折込求人紙も媒体力をつけ、インターネット求人サイト、モバイル求人サイト、

ついには入社祝い金支給などユーザーのキャリアを応援するサイトや、
採用して初めて費用が発生する求人サイトまで現れて、
今や、あらゆる選択肢が増え続けている時代です。

伝達方法も、コピーやイラスト、写真だけではなく、
今や動画で訴求する求人サイトもあります。
時代は変わり、映像や音楽、働く人たちの声までもが
伝達チャネルとして加わってきています。

こんなに多種多様な求人媒体、たくさんの伝達チャネルに恵まれる中で、
どの媒体を選択し、いつ、どのように求人活動を行っていくのか…。

こういう時代だからこそ、各企業、各組織で
採用に関わる方の腕の見せどころなのです。

採用広報力については私の真骨頂でもあり、お伝えしたいことが
山ほどありますが、広告表現の工夫による成功事例は
ヒトナビの
こちらのページを参照いただくとして、
本コラムでは、もう少し別の視点で、幾つかに絞ってご案内したいと思います。

まず一つ目は、“ 採用広報力 ” の視点を通した、
『応募者を増やす人事担当者』 『応募者を減らす人事担当者』 についてです。
業界によっては、『人を集めやすい店長』 『人を集めにくい店長』 と言っても良いでしょう。

下記は、先日行った 『店長のための採用力UP!!セミナー』 で使用した資料の抜粋です。
まずは、こちらのQ&Aを、軽い気持ちでチェックしてみてください。


採用力UP!! Q&Aリスト(※別ウィンドウが開きます)



いかがでしょう?

チェックリストは、全て3点だと120点満点。
100点以上でしたら、店長様としては100点。
合格点は85点で設計してあります。

この内容が、どうして 『人を集めやすい店長』 と『人を集めらにくい店長』 に繋がるのか。

次回は、この種あかしの後、 “ 採用広報力 ” の全体像をご案内していきます。2012.02.09

『採用力』を構成する3つの要素の中で、最も手を打ちやすい “ 採用活動力 ”

その最初のポイント “ 採用活動への投下資源 ” について、
もう少しご案内を続けましょう。

前回題材にさせて戴いた “ ドラフト制度 ” 。

仮に…本当に仮にですが、
これを、採用活動にしっかりと資源を投下しない…つまり、

経歴や報道で知った、間近で見たこともない選手を指名して、
交渉権を得た選手の前に担当者一人でふらっと現れ、
ほんの5分の慌しい交渉で契約しようとする…。

このようであったら、皆さんはどうお感じになるでしょうか?

これも笑い話ではありません。

「そう言われてみれば、そんな採用活動をしているかもしれない…どきっとしたり、思い当たるという方も、いらっしゃるのではないでしょうか」

セミナー等の機会でこの質問をすると、そう言えば…という方々が、毎回少なからず手を上げられます。

「日々の忙しさの中、そんな採用活動をしている場面が全くないとは言い切れない」

そう振り返る企業様ほど、インタビューをしていくと、採用活動にとても熱心だったり、
既にパワーをかけ様々な工夫もされていて、真剣な方が多いことに驚かされます。

一方で、
「うちは、なかなか良い人材が集まらなくてね・・・」と悩まれている企業様の中には、
「採用活動には、できるだけパワーをかけず、資源を投下しないのが正解だよ」と錯覚し、
“ 自社の採用活動は充分 ” だと考えている方がいらっしゃるのも不思議なところです。

傍から見ると充分で、熱心で真剣であればあるほど、自らの未完成な面が見えてしまう。
それゆえに真摯に向き合って、直向に努力し続け、更なる高みを目指していく。

プロ野球界のイチロー選手ではありませんが、
なんだか採用活動にも通じるものがあるようです。

ここで、改めて声を大にしてお伝えします。

活性化している組織、勝ち続けられる最高のチームを創ろうとするのなら、
採用は、重要な打ち手の最初のステップです。
このコラムに興味を抱き、今、読み進められている方だからこそ、
採用は、最重要課題のひとつなのかもしれません。

であるのなら、採用に関わっている「ヒト」、採用のための「モノ」、採用にかける「カネ」、
そして、採用にかける「時」「知」「技」…
これらに代表される経営資源を、渾身の想いで今まで以上に採用活動に投下する。

全ての組織活性は、そこから踏み出すことで始まってゆくのです。

今まで担当者一名で行っていた採用活動を、現場の皆を巻き込んだり、
自らも率先しもっと多くの人たちで行ってみる。

今まで、作ったことも使ったこともなかった採用ツールや会社案内の冊子やビデオ、
面接会場POPなどを、積極的に作成し、あちこちの場面で使ってみる。

今まで、その場その場で減らすことばかり考えていた採用予算を、
前向きな投資だと計画し、中長期的に自組織の発展を意図して組んでみる。

今まで、直接の利益を生み出すわけではないと削りがちだった採用にかける時間を、
真正面から大切にし、愛しみながら増やしてみる。

今まで、蓄積してこなかった採用活動の成功パターンやノウハウを、
PDCAサイクルをしっかり回しながら蓄積し、次に活かして熟成してみる。

今まで、実施していなかったリクルーター研修や面接者研修、

適正検査や採用試験をちょっとだけ手間暇をかけて行ってみる。

全社を巻き込まなければできないこともあるかもしれませんが、落ち着いて整理してみると
採用活動へ投下し活用できる資源は、“ 自組織だけでも ” “ 無理をせずとも ”
まだまだ沢山残っているはずです。

少ないマンパワーで「良い人が採れない」とお悩みになっている組織と、
皆で採用活動に参加し合い、充分なマンパワーでこれでもか!!と前進している組織。

「採用にかかわる時間はできるだけ省力化して・・・」と、
「最近、採用にかかわる時間がとても愛しくなってね…」。

どちらの組織が「採用力」が高く、どちらのチームがより「活性化」し、発展していくのか、
ここまでくると、もう言うまでもないでしょう。

自組織の中で、眠っていたり、見落としていたりと、
まだまだ沢山残っていたりする“ 採用活動へ投下できる資源 ” 。

みなさんの組織でも、ゆっくり見渡して改めて整理し、
ぜひ活かしてみては如何でしょうか。 
2012.01.24

 

前回ご紹介したエピソード。
なるほど、応募者が沢山あるのに、面接に繋げられないわけだ…。
そうお感じになった方も多いのではないでしょうか。

ここでポイントになるのが『採用力』の3つめの要素
“採用活動力”

何度も繰り返しますが、他の2つの要素に比べて最も手をつけやすく、
さまざまな工夫で即効性も期待できる要素と言えます。

今回から数回に分け、この“採用活動力”について、
もう少し掘り下げてご案内していきましょう。


まずは、前回の図で、最初にご案内している“採用活動への投下資源”についてです。

経営資源の4大要素の「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」。
そして最近、経営資源の7要素として話題に上がる「時」や「知」や「技」。

“採用活動力”を高める最初の一歩は、採用に真正面から向き合い、
これらの資源を、渾身の想いで採用活動に投入することから踏み出します。


セミナーなどでこの話をする際、時折、話題にさせて戴いている題材に、
“プロ野球のドラフト制度”があります。

先日も、巨人の原監督を伯父に持つ菅野投手を始め、
4名の選手が複数の球団から指名を受け話題になりました。

一昨年のドラフト会議。
4球団競合の中、爽やかにプロデビューした
ハンカチ王子こと斎藤祐樹投手も、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
(私の歳になりますと、どうしても清原選手のあの涙が忘れられませんが…)

この、年に一回、数時間のドラフト会議のため、
一年を通して全国を飛び回り、手間暇を惜しまず、
大変な努力をしている人たちがいることはご存知でしょうか。

高校野球や大学野球、社会人野球などに足繁く通い、
試合だけでなく選手の練習場面までを視察し、
自球団の現状と将来を鑑みながら、指名するほんの数名の選手を絞り込んでいく。

そう、各球団のスカウト陣です。

時には球団代表やGM自らも足を運び、スカウト部隊の先陣をきることもあります。
経歴や報道だけでなく、間近で、自分の目で見た感覚を得たいのだと言います。

年一回、たった数時間のドラフト会議が行われる、その何年も前から、
各球団は、優秀な新人選手の獲得に向け、時間をかけ、人手をかけ、
手間暇を惜しまず、全身全霊を込めて、
採用活動へ資源を投下しているのです。

もちろん、スカウト陣だけではありません。
会議で指名が確定し、いざ契約交渉権を得た後の各球団の動き。
それは、時折、目頭が熱くなるドラマさえ生まれます。

先日報道されていた、ある選手の指名から入団までの軌跡。

意中の球団でなかったのか、どことなく迷っている様子の選手。

 

そこにスカウト陣だけでなく、監督、GMまでもがユニフォームからスーツに着替え、
何度も何度も往訪し、選手の声をじっくり聞き、その想いを真摯に受け止め、
そして球団から選手への熱い想い、共に歩むわくわくする未来を語り…。

あまりの真摯さに驚いた記者の問いかけに、
「人、ひとりの大きな大きな人生がかかっているのですから…当然です」
と監督の言葉。

こういった想いで何度も何度も膝を突き合わせるからこそ、選手も、
この球団に入りたい、この監督と歩みたい、このチームで一緒に優勝したい…
そんな想いがこみ上げるのでしょう。

だからこそ高い意欲で入団し、厳しい練習と向き合い、
更に知識やスキルを磨き、本番の試合で大活躍し、
たくさんのファンに元気や勇気を与えてくれる。

組織の強化は採用から始まっている…とは、
例えばこういうことかもしれません。

そこには、契約金や年俸、出来高契約などの「カネ」の投下もありはしますが、
まずは、採用に真正面から真摯に向き合う沢山の「ヒト」の存在があります。

そして、手間暇を惜しまず、じっくり採用にかける充分な「時間」。
それを支える、採用ノウハウやPDCAサイクルの蓄積という「知」や「技」。
募集案内や選考ツール、面接環境やアクセスの整備などの「モノ」。

こういった経営資源を、しっかり採用にも投下する。
それが、組織を強化するために採用実務力を向上させる第一歩なのです。

以前、採用活動が急速に好転していったあるお客様に、
こんなことを言われたのを思い出します。

「最近、採用にかかわる時間がとても愛しくなってね…」

私は思いました。

採用力が上がったから、そう想ったのではなく、
そう想うようになったから、採用力が上がったのではないか…と。  2012.01.11

 


『今、打ち合わせ中だから、もう少ししたら、また電話くれるかい!!』

前回ご紹介の、老舗和食店の大将。
応募者からの電話に出ると、そう言って、電話を切ってしまいました。

表情や物腰はいつも柔らかく上品なのですが、電話越しにその口調だけを聞くと、
応募者にはかなりぞんざいな印象を与えそうです。

今、電話をしてくれた応募者は、もう一度電話をする気になるでしょうか…。


しかも応募者が、本当に沢山の広告の中から、大将のお店を選んで、
意を決して電話をしてくれたにも関わらず、
お礼を言うでもなく、面接日程を合わせるでもなく、
名前も連絡先も聞いていません。


特にアルバイト募集の場合、
募者は複数の応募先へ打診していることも多く、
応募を受ける側の初期対応によっては、
他の応募先に決定してしまうことも考えられます。


席に戻ってきた大将に、私は言いました。


「大将…。面接率を上げる方法がわかりました…」


皆さん、もうお気づきでしょうか。
この出来事が示唆する、『採用力』の3つめの要素。
それは“採用活動力”です。

採用力C.jpg

上図に整理してみましたが、
採用活動力は、他の2つに比べて最も手をつけやすく、
相対的に予算も時間も少なく、さまざまな工夫で効果が期待できる要素です。


それぞれの解説は次回以降で詳しく掘り下げますが、
身近な例では、今回のエピソードのように
応募者への初期応対の仕方ひとつで、面接率が左右されることもあるわけです。


さて、冒頭の続きに戻りましょう。


その後、すぐに私はオフィスに戻り、逸る気持ちでツールを作成しました。

[1] 『応募者応対のコツ』

[2] 『応募受付シート』

[3] 『ご応募ありがとうございます。ようこそ面接にお越しくださいましたPOP』

※詳細は別の項でまた詳しくご案内いたします


大将にこれらをお渡しし、[3]のPOPを大将と一緒にお店の入口に貼りながら、
応募者をしっかり面接に繋げるポイントを、じっくりとご提案させていただきました。

大将のお店は、これまで、口コミや紹介での応募ばかりだったので、冒頭のような応対でも、また連絡してきてくれたし、しっかり面接できていた。

だからこれまで、面接に繋げるための応募者応対のコツなんて考えたこともなかった。


それを事前にしっかりヒアリングしきれていなかった、
まだまだ新人だった私の至らなさ。

『やっぱり広告って凄いんだね!!』
嬉しそうに仰っていた大将に、私の案内不足で与えてしまった採用機会の損失…

それをひとつひとつ紡ぎ直すように、一日の間に、
何度も何度もお伺いしたのを覚えています。

そして、後日談です。


流石に洞察の深い大将。このご提案の後、応募者の対応役は
大将から、物腰も口調も共に優しい、お店の女将さんになりました。


応募者からの電話には、まず、沢山の募集の中から応募を戴いたお礼。

どんなに忙しい中でも丁寧に応対しながら、『応募受付シート』に
名前、連絡先、希望シフト、面接予約日程、電話での印象などを記入。

たくさんの電話は、たくさんの面接予約へと繋がっていきました。


そのあとは、面接も続々です。
たくさんの面接者の中から、大将の希望通りの人材がめでたく採用されました。

お店に顔を出した折、「まぁ、お茶でも…」と勧められ、
大将と女将さんと、そして“採用された方”との4人で飲んだお茶の味。
それは、今でも忘れられない、奥深い味になりました。     2011.10.13

コラムNo.24からご紹介している『採用力』という考え方。

『採用力』 = A × B × C

これまで、採用力は大きく3つの要素から成り立っていて、

A…企業やお店自体が持っている力B…募集条件や処遇等が持っている力

とご案内してきました。

今回から、最も手を付けやすい“3つめの要素”に移っていきましょう。



まずは、この3つめの要素に関係する、典型的な“ある出来事”の話です。

ずいぶん前のこと。まだ私が新人営業マンだった時代のことです。
ようやく仕事を覚え、一人前になりかけた私を、
大変可愛がって下さった老舗和食店の大将がいらっしゃいました。

出会いの言葉は、
『求人広告?うちは間に合ってるよ!』

口調は厳しいけれど、表情と物腰はいつも柔らかく上品な大将。
厳しい口調とはうらはらに、私が顔を出すたび様々なことを教えて下さいました。

雑誌やテレビでも紹介されているお店。
憧れも後押しし、新人の私はお会いするのが楽しくて、足しげく通ったものです。

そして一年近くは通ったでしょうか。

それまで口コミや紹介で十分採用できていて、
求人メディアでは募集したことがない…という大将に初めて仕事を頂き、
喜びと責任感に溢れながら作った渾身の原稿を掲載したその週。

掲載初日に顔を出すと、『応募の電話が沢山入っているよ!!』と笑顔の大将。
二日目に顔を出すと、『広告って凄いんだね!!』と、お褒めの言葉。

ああ、憧れの大将の役に立てた…
そう浮かれていた私の気持ちは、しかし、
週末には一変することになってしまいます。


『藤井さん。せっかく募集広告を出したけど、なんだか全く面接できないよ』
週末の大将は、半ば呆れ顔にも似た表情になっていました…。

地域でも有名な老舗店。
これまでこのコラムでご案内してきた「採用力の2つの要素」
AとBは十分すぎるほどです。
お店は雑誌等でも紹介され、ブランドと言って良いほどの知名度がありましたし、
給与や処遇も、まさしく応募者が殺到するだろうという好条件。

私は、「採用できないはずはない…」と思い巡らせながら、
大将に少し時間を頂きました。

詳しくお話を伺うと、
『応募は確かに沢山ある。けれど、面接は全くできない』とのお話。

応募の電話が初日から30件以上はあったにもかかわらず、
掲載から一週間近く経って、まだ一人も面接していないというのです。

多くの応募者があるにもかかわらず、面接者が少なくなってしまう。
私達は、こういった状況を“面接率が低い”と捉え、
その分析と解決策を考察していきます。

あれこれお話をお伺いし、打ち合わせを続けていると、
そこに、ちょうど応募者からの電話が入りました。

そして…

この時、その“出来事”は起こりました…。

この“出来事”の中にこそ、まさしく、採用力の3つめの要素に
大きく関係する一例があったのですが、
皆さんは、何が起こったとお考えになるでしょうか?

次回は、この“出来事”の続きと共に、そこから広がる、
採用力の3つめの要素について、いよいよ詳しく掘り下げていきます。

2011.09.29

確かに、様々な工夫で採用力が向上するのは解った。
でも、これらを導入する手間ひまを考えると…

そう考え、手軽さと即効性への期待から
真っ先に給与UPを考えてしまうお客様に、
私は、具体的にこんな話をすることがあります。

例えば、これまで時給850円で募集していたお店が、
採用力を高めようと、時給900円で募集することにしたとします。

当然、先輩アルバイトさん達の時給も一緒に上げることになるわけですが、
仮に15名のスタッフが1日8時間働いていたとすると
50円(時給UP分)×15名×8時間=6000円。
1日あたり、6000円の人件費UPとなります。

まぁ6000円くらいなら…と思った店長さま。
この後が大切です。

月に平均30日稼動するとして、6000円×30日。
1ヵ月あたり、18万円の計算です。

そして、その18万円×12ヶ月で、年間216万円。

これは、もし向こう5年くらいの経営計画を立てるとしたら、
216万円×5年で、なんと、1080万円…

手軽さと即効性を期待した時給UPは、その裏側で、
5年間で1080万円以上の収益増を図ることが、必要条件になってくるのです。

更に、2店舗・3店舗出店しているお客様ですと、この2倍、3倍。
ここまでくると、お店の改装や、
事業をより一層発展させる資金としても考えられる額です。

その上で、最も見落としがちなのが、
もし、その時給UPでも採用活動が上手くいかない場合、
次の打ち手への予算は、もうほとんど残っていないという現実です。
先に時給UPに着手することで、次の打ち手が打ちにくくなってしまうのです。

“採用力向上の打ち手”としての“給与UP”は、
実は、「最後の切り札」「最後の砦」でもあるのです。

コラムNo.26で、
『そのことと、“人を採用する力”は、繋がっている』とご紹介しましたが、
まさに、様々な繋がりの中で、何をどう意思決定し、どの順番で着手していくのかが、
店長さまや組織を束ねていく方の腕の見せ所です。

50円の時給UPが、5年間で1000万円以上のコストにつながる。
そう考えれば、多少手間ひまを掛けても、その何分の1、何十分の1の予算で
同じ効果が期待できることから、まず工夫し、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

工夫し、着手したことは、将来に渡って
「企業の内力」「組織活性の大きな財産」として、蓄積もされていくのですから…。


2011.09.08 <コラム一覧へ

次に、4つめの事例としてご紹介しておきたいのが、『キャリア・パスの整備』です。

『キャリア・パスの整備』とは、個々がどんな“キャリア≒経験・能力”を、
“パス≒通過”して成長してゆくか…の道筋や行程を明確にすること。

具体的には、アルバイト・パートさんの昇給や昇格の仕組み創りが代表的な例です。

何をどう頑張り、何ができるようになったら評価するのか。
そして、それは、どう“やりがい”に繋がっていくのか。

これまでも、そういった仕組み自体を求人広告に載せ、応募効果を高めた事例は、
数え切れないほど出てきています。


以前、あるお客様から、アルバイト・パートさんの給与設定について
ご相談を受けたことがありました。


そのお客様は、多店舗展開を進める中、広い範囲に100店舗以上を
展開されるまでになり、各店長の裁量だけでの給与設定や昇給のあり方に、
いよいよ限界が迫っている時期でした。

そこで、何回かに渡って店長会議やスーパーバイザー会議に参加させて頂き、
(例としてご紹介できるように、ちょっと加工してありますが)
下記のようなキャリアパス時給マトリックスと、
その職級遂行レベルの職能要件チェックシートをご提案させて戴きました。

 

 

<キャリアパス時給マトリックス> ※クリックで拡大表示

<職能要件チェックシート> ※クリックで拡大表示

これを、アルバイト・パートさんの新制度として求人広告で素材にしたところ、
その後の応募効果を、劇的に向上させる結果に繋がったのです。

ヒアリングとインタビューの結果、
このお客様の根底にある給与決定の考え方の要素は、
“職種”ד労働条件”ד勤務エリア”ד成長・成果(その方が生み出せるパフォーマンス)”
という公式となって浮かびあがってきました。

“職種”は、その仕事が生み出す価値…生産性、収益性との相関が出てきます。

“労働条件”は、その方がその条件内で働くために、店長様のシフト組みの苦労や、
短時間でも制服やタイムカードは必要など、余分なコストとの相関が出てきます。

“勤務エリア”は、一般的に、都心から離れるほど家賃などの物価が安くなったり、
店舗あたりの来店客数や客単価等の影響で、周辺の給与相場に関ってきます。

そして、“生み出せるパフォーマンス”が向上すれば、当然、
その方が同じ時間当たりに生み出せる収益も向上するので、
それをしっかり処遇に反映する。

整備されるキャリア・パスは、誰にも納得性が高く、長く運用しやすくなければなりません。
だからこそ、その基本的な考え方は、とても合理的でシンプルなものになるばずです。

“がんばったら報われる”組織。“成長することを応援している”企業。

やはり、頑張りやスキルの向上が“やりがい”に繋がる仕組みを
整えている企業様は、高い採用力を持っていると言えるでしょう。 2011.08.25

前回のご案内、みなさんはどう受け取られたでしょうか。

「目を向けるものは給与や待遇だけではない」
「アルバイト・パートさんを積極的に活用しようとする企業様ほど、多様性への対応を」

今回も、引き続き、もうちょっと掘り下げていきたいと思います。
職種の呼称、勤務日数や時間の工夫に続いて
3つめにご紹介したいのは、『イベント』の活用です。

一言で『イベント』と言っても、それは、本当に多岐に渡っています。

店舗内だけのもの、社内だけのものから、業界全体で全国的に取り組んでいるもの。

バーベキューやパーティ、ボーリングやソフトボール大会などのレクレーション系のものから、 コンテストや、そのスキルや職能の表彰系のもの。

年に一回という大規模なものから、毎月行なわれる小規模なもの。

その複合的活用も含め、さまざまな企業様が、多種多様な取り組みをしていらっしゃいます。


大手ファーストフードチェーンや、コーヒーショップチェーン、
また、流通業界で行なわれている各社の“職能コンテスト”。
これらは、度々、新聞やニュースでも紹介されているので、ご存知の方も多いかと思います。

調理や接客のスキルを競い、全国から優秀なアルバイト・パートさんが集ってきます。
企業様によっては、その演出やネーミングも凝ったものになっていて、
さながら、芸能界のあの賞を彷彿とさせるものまでありました。

その様子を見て「あのコンテストに出てみたい」と応募してくる方もいるそうですが、
何よりも、そこで実際に働いている方のスキルの高さや、キラキラと輝いている姿が、
応募者を惹きつけるのかもしれません。


また、ちょっと大規模な例になりますが、ホテルのパーティルームや大型客船、クラブや遊園地
そして、コンサート会場やスポーツ施設などを借り切って、
アルバイト・パートさん向けのイベントやパーティを行なっている企業様もいらっしゃいます。

ある企業様のそれは、年に一回。
その年の優秀なアルバイト・パートさんの表彰式に始まって、
薄型テレビや人気のゲーム機などを景品にしたゲーム大会と続き、
各店舗対抗のかくし芸大会まで…。

久しぶりに出会う他店舗の仲間たちとの交流。
「自分が働いている企業は、こんなにもたくさんの仲間がいるんだ」という発見と、
「一緒に何かを成し遂げているんだ」という貢献感に、新たな想いが湧き上がるとも言います。

その後は、社長様や役員様も交えた懇親会の席。

普段なかなか直接話すことのない社長様に、
「みんなの頑張りで、この一年は○○まで成長することができた。本当にありがとう!!」
と声を掛けられ、アルバイトさんが感極まって涙ぐむシーン。

その後自然発生的に、社長様や表彰されたアルバイトさんの胴上げが始まり、
とても感動的なフィナーレへと続きます。

当社に応募すると、こんな感動と出会える。
それを、採用力の素材に活用するわけです。


もう一方で、小規模なものでは、店舗や地域ごとでのボーリングやソフトボール大会。
近隣の河辺や海水浴も兼ねてのバーベキュー大会なども、広く行なわれています。

いやいや、でも準備や段取りの手間ひまを考えると…という場合でも、
例えば、店舗ごとの新人さんの歓迎会開催などでも、
充分、採用力の向上に繋がります。


実際、歓迎会の写真を素材として求人広告をつくり、
応募効果を飛躍的に向上させた事例がありました。

先輩のメッセージが寄せ書きされた大きな歓迎垂れ幕と、
たくさんの先輩アルバイトさんたちの笑顔。
その真ん中で、恥ずかしそうにはにかむ新人さん。

「こんなに歓迎されて、僕、ホント頑張ります!!」のコピーが
写真の横に添えられ、お店や働く方々の雰囲気の良さが
ひと目で伝わったのが良かったようです。

これらの取り組みは、もちろん、採用力向上のためだけのものではありません。
職務レベルの向上、コミュニケーションの向上、
士気の向上、モチベーションUPなどを含め、
一体感形成や定着力UP、育成力UPにも繋がっています。

そうして、一石二鳥、一石三鳥の効果をもたらすことも、
手間ひまが掛かるにもかかわらず『イベント』が広く、多種多様な形で
活用されている理由なのかもしれません。2011.08.10

コラムNo.24からご紹介している『採用力』という考え方。

今回は、その2つめの要素についてご案内いたします。

前回までの“企業力”や“お店力”より、もう少し手を付けやすい2つめの要素。
私が、“人事制度”や“人材活性施策”などに傾倒するきっかけにもなった、
その要素Bは、“募集条件”や“処遇”の工夫です。

saiyou-ryoku-B.jpg

詳しくはこれも、上図に整理しておきましたが、

確かに給与や待遇は、悪いよりは良い方が応募者は集まる…というのは、
皆さん納得のことでしょう。

ですが、「募集条件や処遇を工夫する」ということは、
給与や勤務体系、福利厚生だけを指すのではありません。
職種の呼称や仕事をする環境、そして人事制度等の工夫や充実度も、
これに含まれます。

給与を高くすれば応募者は集まるから…と時給に目を向ける前に、
より少ない予算で、高い効果を上げるポイントも
たくさんあることを知って頂きたいのです。

この中で、アルバイト・パート活用の諸制度例は、後述になりますが、
“育てる”“活かす”の項で、さらに詳しくご案内できるかと思います。


この回では、紙面の都合もありますので、まずそれほど予算もパワーもかからない、
2つのポイントを取り上げ、少し掘り下げておきましょう。


まず、職種の呼称の工夫です。

これは特に、流通業や飲食業、サービス業界などでは、現在、広く浸透しています。
なかでも、アルバイト・パート比率の高い企業様ほど、
より工夫されていることが多いものです。

単にアルバイト、パートではなく、パートナー、キャスト、クルー、メイト、○○スタッフ…。

アルバイト・パートさんのキャリアパスプランと併せ、昇格するごとに
呼称を体系化されている企業様もいらっしゃいます。

『パートナー』は、アルバイト・パートではなく、“一緒に志を共にする仲間”という
想いが込められている…という企業様がいらっしゃいました。

『キャスト』は、アルバイト・パートではなく、“物語や作品を一緒に作り出す役割をもった者”。

『クルー』は、同じ船や飛行機で、“一緒にゴールを目指す乗組員”。

アルバイト・パートを募集するのではなく、“同じ志で共に歩む仲間”、
“一緒に事業を運営する同志”を募集するわけです。

この工夫については、募集効果を高めるだけでなく、
チームワークや、アルバイト・パートさんの仕事意識を高める効果も特筆しておきます。

ライフスタイルによって勤務日数や時間などが違うだけで、仕事内容や責任は同じ。

そんな風土の醸成にも一役買っていて、導入している企業様の多くは、
アルバイト・パートさんが活き活きと働き、大活躍しています。


次に、勤務日数や勤務時間について。

特に、アルバイト・パートの募集においては、この柔軟さの工夫が
応募効果を高める、大きな打ち手の1つです。

たくさんの企業様の採用のお手伝いをしながら、よく経験することですが、

例えば

●「1日8時間フルタイム、週5日勤務」でないと応募できない“募集条件”

●「1日8時間フルタイム、週5日勤務」でも  「1日3時間〜8時間、週2日〜5日」でも、どちらも応募できる“募集条件”

この2つがあった時、一般的に、応募者数は後者の方が圧倒的に増えるものです。

集合の図を思い浮かべて頂くと分かりやすいのですが、後者の状況では、
ターゲット(採用対象)が、より幅広い属性やライフスタイルの層まで広がるので、
応募可能な人口自体が、劇的に増加するのです。

「1日3〜5時間、週2〜3日」を希望している方の中にも、優秀な人材はたくさんいます。
採用力を高めるために、応募可能層を広げ、ターゲット人口自体を増やす…。

近年、消費行動にも現れているように、時代は、多様性へ大きく変化しています。

ダイバーシティ・マネジメントという言葉が急速に注目されているように、採用においても、
まさに多様性への対応をした組織が成功する時代になってきているのです。2011.07.27


※弊社も、ファミリーフレンドリー企業、名古屋市女性の活躍推進企業に認定される等、
 多様化への対応を進めた、様々な施策を実施しています。
 ご興味を持たれた方は、左記入力フォームよりお問合わせください。


 「確かに、企業やお店自体が持っている魅力が高ければ、
 人を集めやすいし、採用もしやすくなる。 

 それは良くわかったのですが、私たちの会社は、有名アーティストの事務所でもないし、     
 世界的なブランド企業や学生人気ランキングに登場する企業でもない。 
    
 『採用力』という考え方を実践したいのだけれど、     
 私たちのように小さな企業では、なかなか実践しにくいのでは?」 

採用力をテーマにしたセミナーで、時折、こんなご質問を頂くことがあります。      
このご質問をうけた時、私は毎回、“2つのこと”をお伝えするようにしています。     


1つめは、     
有名アーティストの事務所や世界的ブランド企業でなくても実践できます     
ということです。     
     
このコラムをお読みの皆さんは、日々、     
『組織を束ねる身として、 “企業力”や“お店力“を日々高めようとしている』     
はずだからです。     
     
セミナーでは、この確認のため、前回添付した図をもう一度表示しながら、例えば、     

・自社や自店舗に、より良い歴史を刻もうとすること

・自社や自店舗の信頼性、安心感を高めようとすること

・更に認知度を高め、より良いイメージを持って頂こうとすること

・より良い商品、より良いサービスを提供しようとすること

・働く一人ひとりのスキルや知識を高めようとすること

・チームワーク、組織としての一体感、連帯感を高めようとすること

・働く場をより充実させ、更に活気ある組織にしようとすること

・更にたくさんのお客様を集め、よりいっそう支持され、満足して戴こうと努力すること     

等の中で、日々心がけ努力されていることはございませんか…と続けます。     
     
前回の図の中の全てを一つ一つ挙げていくときりがありませんが、     
この中で力を入れていること、日々目指し心がけていることは、     
組織を束ねている方なら、必ず1つ2つはお持ちだとお応えいただきます。     
     
大切なのは、     

そのことと、“採用すること”、“採用目標を『どう実現するか』”は繋がっているということ。     せっかく同じことをするなら、ここをしっかり踏まえながらやる…ということなのです。     
     
“企業力”や“お店力”を高めるというということは、     
全ての企業様が、いきなり世界に名だたるブランド企業を目指すことではありません。     
例えばですが、日々目指している、地域で人気の繁盛店で良いのです。     
     
そのことと、“人を採用する力”は、繋がっている。     
     
採用力の最初の要素は、     
今、力を入れていること、日々目指し努力していることを、     
その繋がりを踏まえながらやることが、大切…ということも示唆しています。     
     
今までやっていたことに、“人の採用”との繋がりが踏まえられると     
一つ一つの動きが、しっかり相乗効果を生み出すようになっていきます。     
同じことをするだけで、一石二鳥、一石三鳥の成果が視界に入ってもきます。     
     
中には、視界が広がることで、組織やお店の創り方、
売上や利益の生み出し方まで変わっていった企業様もいらっしゃいます。

“一生懸命アクセルを踏みながら、同時に、別の面ではブレーキを踏み続けていた”

藤井さんのセミナーで、そこに気づいたのが大きな転機だった…とまで
仰っていただきました。


こうなると、
地域で人気の繁盛に近づいてきたのに、相変わらず人が集まらないし、採用し難い…     
そんな現象は起こらなくなり、なんだか全てが好転していくようにさえ感じるそうです。     

まずは、「心がけ力を入れていること・日々目指し努力していること」と、
「人の採用で悩まなくなること」とを、しっかり繋げることから始め、     
アクセルとブレーキを同時に踏んでいることはないか、見直してみては如何でしょうか。


…。     

さて、1つめが長くなりました。     
お伝えしている2つめのことにも触れておきましょう。     
     
それは、     
そんな想いをもつ企業様にこそ、『採用力』の残り2つの要素をぜひご紹介したいんです     
ということです。     

『採用力』=A×B×C。     
大きく分けて三つの要素から成り立っていますが、それは掛け算になっています。     
     
例えば、Aが10の力の世界的ブランド企業様でも、Bが5、Cが1の力なら50の採用力です。     
しかし、Aが2の力しかない状況でも、Bが5、Cが10なら100の採用力になり、     
世界的ブランド企業の採用力を、上回ることができるわけです。     
     
ですから、そんな想いをもつ企業様こそ、あと2つの要素を積極的に活用しましょう…と。     
     
確かに、『採用力』=A×B×C…とある中、まずご紹介した“A=企業力やお店力”は、
上げようとすると最も時間や予算やパワーがかかるかもしれません。     

であるなら、    
“企業力やお店力”より、もう少し手を付けやすい他の2つの要素で勝負するのです。    
    
次回は、残りの2つのうち2つめの要素、Bの内容について、ご案内致します。
2011.07.07

前回のエピソード。皆さんはどうお考えになったでしょうか。

 ・アルバイトだけれど、ボーナスがあった。

 ・きっと、オフィスの隣が、当事有名なあのディスコか、テレビ局。

 ・勤務時間が不安定だけれど、それ故に、高級車か何かが社用車として使える…。

 ・“面接時は交通費支給”。それ目当てで、田舎から六本木に来たいと集まった…。

 ・仕事内容が正社員なみだけに、知識とスキルが身につきそうで、   成長期待感が大きかった。

先日は、藤井さんが珠玉のコピーを書いた…とお応え頂いた方もいらっしゃいました。
セミナーでも毎回、様々なお応えを頂け、時折会場が笑いに包まれます

上記は、どれも違っています。

けれど、『採用力』の三つの要素は、この辺りに関係しています。
答えをあれこれ探す時間は、だんだんと皆さんに『採用力』という考え方に
慣れ親んで頂く時間でもあります。

まず先に種あかしをしておきましょう。

前回のコラムで
『朝から、有名アーティストのコンサートの予約のごとく電話が鳴り続き』と
ありましたが、これが大きなヒント…です。

そう、このお客様は、まさしく有名アーティストの事務所だったのです。

まだ新人だった私は、初めての大物芸能人との出会いにドキドキです。

たくさんの応募があるだろう…という予測は立てていましたが、ここまで凄いとは…。
応募効果で、初めて鳥肌が立つ感覚を味わった経験でもありました。

このように、社名(若しくは店名や事務所名)を出しただけで
応募者が集まる事例は、アーティストや芸能人だけに収まらず、
枚挙にいとまがありません。

この事例の延長線では、原宿で流行っていた芸能人のあのお店。
飲食店でも、アメリカから上陸し、たちまち話題になった
アイスクリームのあのお店や、同様に、コーヒー店のイメージを一新したあのお店。

他にも、やはり憧れのブランド企業や人気商品を扱うお店は人を集めますし、
就職時期になると雑誌などで話題になる、
学生人気ランキングに登場する企業さまは、時代の変遷はありますが、
アルバイト募集でも人気があり、たくさんの応募者が集ります。


このように、『採用力』で、最初にご案内したい要素は、
“企業力”“お店力”
“企業やお店自体が持っている力”です。

saiyou-ryoku-zu.jpg

詳しくは上図に整理しておきましたが、
これらの企業やお店自体が持っている魅力が高ければ、
募集時においても応募者を集める力は高くなっていきます。

企業やお店、社長様やそこで働く方の認知度や人気度、話題性だったり、イメージだったり、 若しくは、扱っている商品やサービスのそれだったり…。

最近では時代背景を反映し、成長性の他、規模や安定性、
そして社会貢献性もポイントになってきています。 2011.06.23

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