“採用広報の全体フロー”。
今回も、2つめのステップについて、もう少しだけご案内を続けましょう。
2つめのステップは、媒体を選定し、広告を制作し、実際に広報していく段階です。
『誰に』『何を』『どんな表現で』『どう伝え』、たくさんの『求める人物像』を集めるか。
前回の、 “ 天の利、地の利、時の利、人の利 ” と “ 彼を知り己を知れば… ” を
引き合いに出した4つのポイント。
これらを押えながら、『どの媒体で』『どのように』掲載して採用を成功させるか。
それを具体化していくのが、前々回ご紹介した図の中ほどにある、
『ポジションニング』から
『コンセプト設計』『媒体・出稿戦略』『原稿内容・訴求戦略』と
トライアングルに並んでいる部分になります。
『ポジションニング』では、募集採用活動における
●“強み”や“弱み”
●“魅力となる要因”や“課題となる要因”
応募者がその仕事をする上での
●“メリット”や“デメリット”
などの視点で整理していきます。
もちろん、これらは、『求める人物像』や『採用ターゲット』の立場に立ったものであり、
この時こそ、前回の “ 彼を知り己を知れば… ” で押えたことの出番でもあります。
もう一方で、
●企業・組織面…自社や自店舗、自組織自体の強み、弱み、魅力、課題
(歴史や知名度などのハード面と、風土や組織文化などのソフト面)
●仕事面…仕事自体の魅力、強み、弱み
●待遇・福利厚生面…給与や勤務時間、福利厚生や人事制度上の強み、弱み
●生活面…この仕事をすることでの日々の生活上のメリット、デメリット
なども、より深く掘り下げるために、よく活用している視界です。
これらを踏まえ、いよいよ『どの媒体で』『どのように』掲載し、
たくさんの『求める人物像』を集めるのかの具体化。
それが、
●「誰に」「何を」「どんな表現で」「どう伝え」るのかの骨組みを決める『コンセプト設計』
●「媒体選定」だけでなく、「インデックス選定」や「メディアMix」、
広告スペースや連続性等の「出稿量」と、「時期」「スケジュール」を
決めていく『媒体・出稿戦略』
●「何をどんな素材で」と、「どんな表現でどう」伝えていくのかの『原稿内容・訴求戦略』
このトライアングルの部分になるわけです。
さて、この2つめのステップで、よくご質問を頂くのが『採用USP』という言葉です。
このご説明には、ちょっとだけ広告業界の考え方もご案内しなければなりません。
『USP』とは、『Unique Selling Proposition(ユニーク セリング プロポジション)』の略で、
簡単に言えば“ 商品や店舗の独自の強み ” のことです。
“お客様が自社の商品を買う独特の理由”
“お客様に自店舗が選ばれる理由”と考えても良いでしょう。
代表的な例では、“お口で溶けて手で溶けない” あのチョコレートや、
“吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機” のあの電気機器メーカー
“熱々の手作りピザ”を “30分以内にお届け!!” のあのピザチェーン…。
最近では、排気が空気清浄機なみに清潔で、吸引音が静かな掃除機を、
“赤ちゃんが寝ていても、安心してお掃除できる”
と売り出していたのもありました。
『USP』を明確にすることで、なかなか売れなかったものが劇的に売れた。
田舎町の小さなお店が、世界的な大企業になった。
マーケティングや広告の世界では、そんな沢山の事例とともに、
広く活用されている考え方のひとつです。
この『USP』を、募集・採用活動に応用したのが 『採用USP』 。
募集・採用活動での “ 自社や自店舗の独特の強み ”
採用ターゲットとなる応募者が “ 自社、自店舗を選ぶ理由 ” …というわけです。
ユニークとは、他に類を見ない、独自の。
セリングは、売りとなる。
プロポジションは、提案、主張…の意がありますが、
結婚を申し込む時の “プロポーズ(Propose)” とも近い言葉です。
これは、募集・採用活動の中で味わうあの想いとも相通じていて、
『採用USP』 という言葉に、どこか奥深さを感じさせてもくれます。
“採用広報” の2つめのステップでは、この 『 採用USP 』 を
明確にすることが、とても大きな役割を担っています。
以前ご案内の 『 応募者を増やす人事担当者 』 や 『 人を集めやすい店長 』。
更に以前ご案内の『 採用力 』 を構成する“企業力・お店力”、“募集条件・処遇”。
これらのひとつひとつに着手することで高まった 『 採用力 』 を、
実際の広報活動の中で結果・成果に結びつける架け橋。
それが、この 『採用USP』でもあるのです。
『USP』を明確にすると、売上が上がる。
同様に、 『採用USP』を明確にすると、応募効果が上がります。
みなさんの組織やお店の『採用USP』。
ぜひ、明確にしてみては如何でしょうか。 2012.5.10