確かに、様々な工夫で採用力が向上するのは解った。
でも、これらを導入する手間ひまを考えると…
そう考え、手軽さと即効性への期待から
真っ先に給与UPを考えてしまうお客様に、
私は、具体的にこんな話をすることがあります。
例えば、これまで時給850円で募集していたお店が、
採用力を高めようと、時給900円で募集することにしたとします。
当然、先輩アルバイトさん達の時給も一緒に上げることになるわけですが、
仮に15名のスタッフが1日8時間働いていたとすると
50円(時給UP分)×15名×8時間=6000円。
1日あたり、6000円の人件費UPとなります。
まぁ6000円くらいなら…と思った店長さま。
この後が大切です。
月に平均30日稼動するとして、6000円×30日。
1ヵ月あたり、18万円の計算です。
そして、その18万円×12ヶ月で、年間216万円。
これは、もし向こう5年くらいの経営計画を立てるとしたら、
216万円×5年で、なんと、1080万円…
手軽さと即効性を期待した時給UPは、その裏側で、
5年間で1080万円以上の収益増を図ることが、必要条件になってくるのです。
更に、2店舗・3店舗出店しているお客様ですと、この2倍、3倍。
ここまでくると、お店の改装や、
事業をより一層発展させる資金としても考えられる額です。
その上で、最も見落としがちなのが、
もし、その時給UPでも採用活動が上手くいかない場合、
次の打ち手への予算は、もうほとんど残っていないという現実です。
先に時給UPに着手することで、次の打ち手が打ちにくくなってしまうのです。
“採用力向上の打ち手”としての“給与UP”は、
実は、「最後の切り札」「最後の砦」でもあるのです。
コラムNo.26で、
『そのことと、“人を採用する力”は、繋がっている』とご紹介しましたが、
まさに、様々な繋がりの中で、何をどう意思決定し、どの順番で着手していくのかが、
店長さまや組織を束ねていく方の腕の見せ所です。
50円の時給UPが、5年間で1000万円以上のコストにつながる。
そう考えれば、多少手間ひまを掛けても、その何分の1、何十分の1の予算で
同じ効果が期待できることから、まず工夫し、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
工夫し、着手したことは、将来に渡って
「企業の内力」「組織活性の大きな財産」として、蓄積もされていくのですから…。
2011.09.08 <コラム一覧へ>