『採用力』を構成する3つの要素の中で、最も手を打ちやすい “ 採用活動力 ”。
その最初のポイント “ 採用活動への投下資源 ” について、
もう少しご案内を続けましょう。
前回題材にさせて戴いた “ ドラフト制度 ” 。
仮に…本当に仮にですが、
これを、採用活動にしっかりと資源を投下しない…つまり、
経歴や報道で知った、間近で見たこともない選手を指名して、
交渉権を得た選手の前に担当者一人でふらっと現れ、
ほんの5分の慌しい交渉で契約しようとする…。
このようであったら、皆さんはどうお感じになるでしょうか?
これも笑い話ではありません。
「そう言われてみれば、そんな採用活動をしているかもしれない…どきっとしたり、思い当たるという方も、いらっしゃるのではないでしょうか」
セミナー等の機会でこの質問をすると、そう言えば…という方々が、毎回少なからず手を上げられます。
「日々の忙しさの中、そんな採用活動をしている場面が全くないとは言い切れない」
そう振り返る企業様ほど、インタビューをしていくと、採用活動にとても熱心だったり、
既にパワーをかけ様々な工夫もされていて、真剣な方が多いことに驚かされます。
一方で、
「うちは、なかなか良い人材が集まらなくてね・・・」と悩まれている企業様の中には、
「採用活動には、できるだけパワーをかけず、資源を投下しないのが正解だよ」と錯覚し、
“ 自社の採用活動は充分 ” だと考えている方がいらっしゃるのも不思議なところです。
傍から見ると充分で、熱心で真剣であればあるほど、自らの未完成な面が見えてしまう。
それゆえに真摯に向き合って、直向に努力し続け、更なる高みを目指していく。
プロ野球界のイチロー選手ではありませんが、
なんだか採用活動にも通じるものがあるようです。
ここで、改めて声を大にしてお伝えします。
活性化している組織、勝ち続けられる最高のチームを創ろうとするのなら、
採用は、重要な打ち手の最初のステップです。
このコラムに興味を抱き、今、読み進められている方だからこそ、
採用は、最重要課題のひとつなのかもしれません。
であるのなら、採用に関わっている「ヒト」、採用のための「モノ」、採用にかける「カネ」、
そして、採用にかける「時」「知」「技」…
これらに代表される経営資源を、渾身の想いで今まで以上に採用活動に投下する。
全ての組織活性は、そこから踏み出すことで始まってゆくのです。
今まで担当者一名で行っていた採用活動を、現場の皆を巻き込んだり、
自らも率先しもっと多くの人たちで行ってみる。
今まで、作ったことも使ったこともなかった採用ツールや会社案内の冊子やビデオ、
面接会場POPなどを、積極的に作成し、あちこちの場面で使ってみる。
今まで、その場その場で減らすことばかり考えていた採用予算を、
前向きな投資だと計画し、中長期的に自組織の発展を意図して組んでみる。
今まで、直接の利益を生み出すわけではないと削りがちだった採用にかける時間を、
真正面から大切にし、愛しみながら増やしてみる。
今まで、蓄積してこなかった採用活動の成功パターンやノウハウを、
PDCAサイクルをしっかり回しながら蓄積し、次に活かして熟成してみる。
今まで、実施していなかったリクルーター研修や面接者研修、
適正検査や採用試験をちょっとだけ手間暇をかけて行ってみる。
全社を巻き込まなければできないこともあるかもしれませんが、落ち着いて整理してみると
採用活動へ投下し活用できる資源は、“ 自組織だけでも ” “ 無理をせずとも ”
まだまだ沢山残っているはずです。
少ないマンパワーで「良い人が採れない」とお悩みになっている組織と、
皆で採用活動に参加し合い、充分なマンパワーでこれでもか!!と前進している組織。
「採用にかかわる時間はできるだけ省力化して・・・」と、
「最近、採用にかかわる時間がとても愛しくなってね…」。
どちらの組織が「採用力」が高く、どちらのチームがより「活性化」し、発展していくのか、
ここまでくると、もう言うまでもないでしょう。
自組織の中で、眠っていたり、見落としていたりと、
まだまだ沢山残っていたりする“ 採用活動へ投下できる資源 ” 。
ぜひ活かしてみては如何でしょうか。
2012.01.24