採用力を構成する3つの要素の中で、最も手を打ち易い “ 採用活動力 ” 。
その2つ目のポイント “ 採用広報力 ” の視点を通した、
『人を集めやすい店長』 と 『人を集めにくい店長』 。
前回のQ&Aリスト・・・みなさんは、如何だったでしょうか。
これまでセミナーや研修などで、このQ&Aを行ってまいりましたが、
参加企業様や、新任層かベテラン層かにもよりますが、
100点以上の店長様は、100名いらっしゃってもほんの数名。
合格点の85点以上の店長様は三分の一から半数弱・・・というのが平均的です。
もちろん、とても優秀な回もありますし、まったく逆の回もございますが、
大切なのは点数の良し悪しでただ終わってしまうのではなく、
これらの質問を通して、店長である自分自身の強みや弱みを整理することです。
強みは更に強化して、自社・自店舗の募集・採用活動の武器にしたいところですし、
弱みは優先順位をつけて順に改善したり、課題化して計画的に解決してゆくことで、
採用力は着実に向上させることができます。
ではこれらの質問が、どうして “ 採用広報力 ” と繋がっているのか?
これも奥深いものがあるのですが、限られた紙面ということもあり、
この項では、まずポイントの1つめに絞ってご案内させて頂きましょう。
まずご案内したいこと、それは、
『自社を知り、自店舗を知り尽くす店長は、人を集める!』ということです。
私の体験で恐縮ですが、以前、こんなことがありました。
自宅のポストに綺麗な封筒入りの広告が入っていたのがはじまりです。
自宅の近くに、新しくレストランがオープンしたらしく、
広告には、お洒落なお店の外観と共に、
「自家製有機野菜」
「〇〇へ行って自ら調達したワイン」
「〇〇ホテルで〇年修行したシェフが…」とありました。
おっ、いよいよこういうお店が…と広告に誘われ、ちょっとわくわくして家内と訪れると…
お店は、殊のほか混み合あい、
広告のイメージを裏切ってかなりざわついていました。
それでも席が空いていたので入口で待ちますが、
なかなかお店の方は来てくれません。
こちらから声をかけ、やっと席に案内されるも、
なんだかぎこちなく慌しい接客です。メニューについて質問すると
「聞いてきます…」と、その都度、厨房と往復するスタッフ。
注文した料理もずいぶん待たされ、先に出された冷えたワインは温まってしまいました。
その上、食事中にポイントカードの入会勧誘が始まり、その安さばかりを強調され…。
広告とは、ちぐはぐな店だなぁ…と、近所にも関わらず
そのお店から足が遠のくうち、一年も待たず、そのお店は閉店して、
新しく美容室に変わってしまっていました…。
綺麗な封筒にInvitationの文字。
お洒落な外観と、美味しそうな料理やワインの写真。
このお店は、オープンにあたり、“ 広報力 ” としては成功していたのだと思います。
お金をかけポスティングした沢山の広告は、私をはじめ、店にわくわくする人を集めました。
オープン直後にも関わらず、確かに混みあうほどの反響があったのです。
けれど、たったひとつのポイントだけが疎かでした。
その広告によって『自社・自店舗が選ばれる理由を知り尽くし、大切に育む』ということが。
求人広告でも、同じことが起こります。
みなさんは、求人募集の際、応募者のなかの、以前ご案内した『求める人物』が、
自社・自店舗に応募する理由、働き続ける理由を、しっかりと整理できているでしょうか。
そして、それを大切にし、育み続けているでしょうか。
近隣の“あのお店”や“そのお店”と比較して、自店舗は〇〇が魅力なんだよなぁ。
これが、せめて5つ以上挙げられるかどうか。
「いやいや、それは、求人広告の営業担当者の仕事でしょ」
そう言われて、働いている方々に取材を申し込んだり、
座談会やアンケートを実施して、採用担当者様や店長様の替わりに
体系的に整理させて戴いたこともありましたが、多くの場合、
応募者が集まっても、先程のレストランの事例のように、ちぐはぐなことが起こります。
次の面接や導入段階で、応募者は、私が感じたような感覚を味わってしまうのです。
『自社らしさとか特に要らないから、とにかく応募者が集まるような広告を創って』
このコラムを読んでいる方にこそ、お教えします。
採用担当、店長として、実は、これ禁句です。
確かに、外部のプロが、客観的に取材し体系化していくメリットは沢山あります。
しかし、そのメリットを活かす大前提は、
採用担当、店長自身が、自社・自店舗の魅力や強みを、自ら知り尽くしている、
若しくは、自ら徹底的に知り尽くす努力を惜しんでいないことなのです。
日々の店舗運営の中で、自店舗で何が起こっているのかをよく観察する。
スタッフたちがわくわくしている場面、目を輝かせ活き活きしている場面を大切にする。
自社らしいなぁ、自店舗らしいなぁ・という出来事やシーンに敏感になる。
スタッフとのコミュニケーションでは、やりがいや働き続ける理由も視界に置いて…
『人を集めやすい店長』 に共通しているのは、こういった積極的な姿勢です。 それはお店のスタッフのみならず、広告を見るユーザーや面接者にも伝るものです。
だからこそ、求人広告と実際の現場の姿に一貫性を持たせ、採用活動の軸が創られ、
お店自体をも、ますます 『人を集めやすいお店』 に発展させていくのでしょう。
『自社を知り、自店舗を知り尽くす店長は、人を集める!』
さぁ、わくわくしながら、よりいっそう積極的に取り組みませんか? 2012.02.22