採用力を構成する3つの要素の中で、最も手を打ちやすい “ 採用活動力 ” 。
その“ 採用広報力 ”の視点を通した、 『人を集めやすい店長』 と 『人を集めにくい店長』 。
前回に続き、2つめにご案内したいのは、
『溢れる情熱で、熱く語る店長は、人を集める!!』 ということです。
これも私の体験で恐縮ですが、まだ私が二十代後半だった頃のこと。
今回の主役は、お店の店長ではなく、部門マネジャーの話ですが、
共通するところは沢山ある…という前提で、ご紹介したいと思います。
駅から程近い、真新しいビルの11階。
だだっ広い、フロアと外の景色だけの、まだ、本当に何もないオフィス。
初めて、その方…以下 「 Aさん 」 と記しますが、出会いは、そんな場所でした。
アメリカでは既に大手の、ある企業様の日本進出。
Aさんは、その創業メンバーの一人として、部門の立ち上げを任され、
これから、150名以上のスタッフを新たに採用していかなければならない…
そんな使命を語ってくれました。
私が痺れてしまったのは、その真摯さ、切実さ、そして、熱さでした。
当時、求人広告の営業担当でしかなかった私ですが、
おそらく、そんな私に会うためだけに準備したであろう資料と、その説明の充実度。
その企業のアメリカでの創業の生い立ちから、沿革、成長の歴史。
自分達が顧客に選ばれるために何をし続け、どの時点でギアやステージが変わり、
そしてなぜ日本進出に至ったのか…。
的確な資料で、そういった説明が長く続いた後、
今度は、Aさん自身の話に続きます。
Aさん自身の経歴。アメリカに渡った時の、この企業の商品とのめぐり会いの物語。
急速にファンになり、惚れ込んでしまう中で、偶然出会った日本進出の話。
そこに参画できた幸運…だからこその、Aさん自身のこの事業に懸ける深い想い。
そして、これからお客様になるであろう、まだ出会ってもいない沢山の人たちへの、
使命感にも似た熱い感覚まで…。
私は、あれこれAさんと話すうちに、
たった数時間で、この企業のファンになり、Aさんのファンになり、
そして、この採用を絶対成功させる!!という強い信念でいっぱいになっていました。
その後、限られた予算の中、私は何度も徹夜をするほどに、のめり込みます。
そうして実現した企画は、当時社内で前代未聞とまで言われたものに。
練りに練って掲載した複数の広告と共に、巻頭編集記事1ページのタイアップ。
更に媒体の表紙にも掲出。その上、媒体広告の電車の中吊や駅張りでも紹介。
当然、応募効果は凄まじく、しばらく後、本当に何もなかったオフィスは、
沢山の新しい机や機器と共に、沢山の新しいスタッフで埋め尽くされていきました。
もちろん、編集や広報はじめ、多くの人の協力と共感がなくては実現しない企画。
ですが、その多くの人を突き動かしたのは、まさにAさんが熱く語り続けた沢山の言葉と
出会う人すべてに燃え移るほどの、溢れる情熱です。
『いやいや、プロなんだから、いろいろ話さなくても、良い提案してくれなきゃ…』
『営業担当なんだから、全てのお客様にそういう提案するのが仕事でしょ』
このコラムを読んでいる方にこそ、またまたお教えします。
採用担当、店長として、実は、これも禁句です…。
広告の営業担当が、より良い企画を…と徹夜を重ねてまで、のめり込んでいる姿。
その姿の奥には、店長様や採用担当者様の、溢れる情熱が燃え移っているものです。
そして、溢れる情熱で語る沢山の言葉。
その沢山の言葉の中にこそ、より良い広告になる素材、より良い企画になる素材、
より応募者の心に伝わる素材が鏤められていて、
その後の企画設計や広告戦略も、一歩も二歩も先に進むことができるのです。
「お客様のファンになろう!!! ファンになる程、より良い広告が創れる!!」
時折、新人たちに語ってきたことですが、
逆から言えば、自社、自店舗のファンになり、その魅力に痺れた営業担当は、
おのずと沢山の応募者にそれを伝えたくて、ウズウズしているものです。
広告の営業担当に、より良い企画や提案をさせてしまう店長や採用担当者。
共通しているのは、溢れる情熱で、あれこれと、熱く語ってしまうことなのです。
そして、これは、応募者の立場でも同じです。
Aさんは採用したい応募者に会うと、思わず、私の時と同じ位、熱く話をしたそうです。
時折面接が長くなり、周りに閉口されたこともあったそうです。
しかし、だからこそ新しいスタッフたちは皆、入社したてにもかかわらず、
自社の生い立ちや沿革、Aさんという人とその熱い想いまで良く知っていて、
まだ日本で創業していないにもかかわらず、既に自社のファンになっていたのでしょう。
『うちのお店は〇〇の想いで◇◇にこだわっててね、将来はこんなお店にしたくて・・・』
と、面接の中に織り交ぜて、熱く語る店長と、
『で、いつから始められますか。希望の時間帯は。』
と、通りいっぺんで、あまり語らない店長。
どちらが応募者の入社意欲を高め、どちらが人を集めるのか、
ここまでくると、もうお分かりのことでしょう。
いや〜。でも、僕は口下手で…。
そんなご相談も時折いただきますが、そんな時は、
社内やお店のエースの方に登場していただくという手もあります。
エースとして活躍している方ほど、社内やお店の良い点や、こだわっている点、
そして、やりがいや充実感、達成感を味わっている点が明確なことが多く、
これから新しい後輩が…という時には、活き活き楽しそうに話してくれるものです。
その上、活躍し戦力になっている方だからこそ、店長とも強い信頼関係があるはず。
応募者が、二人の関係性を見て、だから入りたくなった…という例もありました。
『溢れる情熱で、熱く語る店長は、人を集める!!』
さぁ、わくわくしながら、よりいっそう積極的に取り組んでみませんか? 2012.03.07