前回触れた、『求める人物像の明確化』。
企業活性や店舗活性にも、とても大きな力を発揮してくれます…とご案内しましたが、
セミナーでもご質問が多い項なので、もう少し補足しておきましょう。
これまでアルバイト・パートさんの採用で、たくさんのお客様の
お手伝いをしてまいりましたが、『求める人物像は?』と伺ったとき、
最も多くいただくお応えが、「良い人材」という言葉です。
「良い人材」を求めるのは、どこのお店や企業さまも一緒。
では、自社・自店舗にとっての「良い人材」とは、
具体的にどんな人のことでしょうか? と問いかけると、
・明るくて元気な人
・身だしなみが整っており、清潔感のある人
・コミュニケーション能力があり、協調性のある人
・社会的な常識や、礼儀、マナーを備えた人
・やる気があり、自分から積極的に仕事に取り組んでくれる人
というのが上位ベスト5に入ってきます。
最近では時代を反映してか、この他に、“言葉遣いのしっかりした人”とか、
“ストレス耐性がある人”…というお声も増えてきました。
ここで注意しなければならない、大切なことが見えてきます。
上記でもまだまだ、どんな企業やお店でも、みんなが採用したがる人物像だ…ということです。
またまた例え話で恐縮ですが、上記の設定では、「良い人材」という回答と同様、
サッカーチームが、“スポーツをやりたい人”を「求める人物像」としているようなもので、
前回触れたように、野球や水泳をやりたい人が含まれてしまうかもしれません。
『求める人物像の明確化』を行うには、
自分たちが目指す「最高のチーム」の姿とがっちり向き合いながら、
上記から、“更にもう一歩掘り下げてゆく”ことが、とても大切になってきます。
もう少しサッカーチームの例えで続けますと、
同じサッカーチームでも、フォワードとミッドフィルダーでは、 『求める人物像』はまた変わっていく でしょう。
ゴールキーパーなら、なおさらのことです。
つまり、同じお店や組織でも、今回募集・採用しようとする「職種」や「仕事内容」、
「将来担って欲しいポジション」によって、
『求める人物像』の掘り下げ方は変わってくる…ここも押さえておきたいところです。
弊社では、お客様と一緒に『採用目標』を整理してゆくとき、
前回ご紹介の募集要項や具体的な仕事内容、求められる資質等と共に、
・今回募集する職種の方で、最も活躍されている方はどんな方ですか?
・そういった資質を感じた、具体的なシーンや出来事で、思い起こされることは?
・逆に、今回募集する職種の方で、もっとこうだったらなぁ…と感じる方はどんな方ですか?
・その方の、特にどんな点が優先課題に挙げられますか?
といった、既存や過去のスタッフさんから『求める人物像』にアプローチしていく質問…
・最近のシーンや出来事で、自社らしいなぁ、自店舗らしいなぁ…と感じられたことは?
・自社、自店舗が最も大切にしていることはどんなことですか?
・創業○○年と伺いましたが、御社の沿革を幾つかのステージやギアに分けるとすると?
・社長様や店長様が、社内報やミーテイングの場でよく口にされていることは?
といった、自社、自店舗の歴史や風土、大切にしていることからアプローチしていく質問…
・昇給制度がお有りだとお伺いいたしましたが、どうなると昇給するのですか? ・アルバイト、パートさんにも人事制度、職級制度がお有りだと伺いましたが…
といった、評価や昇給、人事制度からアプローチしていく質問…
・これから一年後、二年後は、どんなふうに画いていらっしゃいますか?
・一年後の売上計画は○○だとお聞きしましたが、現在からの△△の要因は何ですか?
・半年後、一年後の御社、お店の組織図は、どんなイメージですか?
といった、事業計画や戦略、将来像からアプローチしていく質問…
紙面の都合でほんの一例を挙げさせていただきましたが、
こういった質問を織り込みながら、打ち合わせをさせて頂くことがあります。
もちろん、広告制作のコンセプト設計の取材を兼ねてという部分もありますが
そういった質問で戴いたキーワードを羅列したり、繋げたり、グルーピングしたり、翻訳したり、
更に深堀りしたりしながら、『求める人物像』の本質に迫っていくわけです。
これらの質問で、求人広告を出したいだけなのに、なぜそこまで聞くの?
という方もいらっしゃいますが、質問を続けるうちにハッとされ、
身をのり出されてくる方も多数いらっしゃいます。
採用活動を通して、自社や自店舗のはっきりした姿や、
目指す方向性まで改めて整理され、再認識された…
さっそく、自社の組織で再強化したい点が見えてきた…という、
嬉しい副産物が、一緒に生まれているのです。
募集・採用活動を機械として、自社や自店舗が活性化され、
目指す方向性まで改めて強化する…『求める人物像』の明確化。
ぜひ、楽しんで、わくわくしながら取り組み、
せっかくなら最大の効能を享受してはいかがでしょうか? 2011.5.25