さて、コラムNo.21からご紹介してきたように、
“目的”を整理して募集・採用に向かうエネルギーを高める “目標”を定めて、より具体的にイメージする
ここまでできたら、 次は、それを『どう実現するか』です。
わくわくしながら取り組み、強烈に明確になった採用目標を『どう実現するか』。
このことを考える時、私がよくご紹介しているのが、
募集・採用活動の成功の法則の3つめ、『採用力』という考え方になります。
『採用力』とは、言葉通り、自社や自店舗が採用を成功させられる基本的な力のことです。
この力を高めれば、募集に対し沢山の応募があり、より良い人材を採用し易くなりますし、
この力が低いままだと、募集をしてもなかなか応募に繋がらず、人材採用に苦労する…
ということになっていきます。
そして、この力は、
『採用力』=A×B×C
と、大きく分けて三つの要素から成り立つといえます。
つまり、この三つの要素を高めることが、 “採用目標を『どう実現するか』”の近道になるというわけです。
私が『採用力』という考え方に出会ったのは、もう25年以上も前になります。
まだ新人だった私は、たくさんの採用をお手伝いをさせて頂きながら、
・なぜ、「いつも採用活動が上手くいく企業」と「そうでない企業」があるのだろう
・いや、企業というカテゴリーだけじゃなく、「採用しやすい職種」と「そうでない職種」もある
・いや、企業や職種だけじゃない…なんだか「採用しやすい地域」と「そうでない地域」もある
・でも、あの職種でこの地域なのに、○○様は、こんなにも応募者が集まった…
といった、今ではごく当たり前のことに疑問をもち、日々考え続けながら仕事をしていました。
(ちょっと変わった営業マンだったかもしれません)
この時に転機になったのが、あるお客さまとの出会い。
一見では採用難易度が高そうに感じられたものの、
結果としては、その応募者数の凄さに鳥肌を立てた募集でした。
六本木駅から徒歩15分。
これまでの採用手法は知人の紹介ばかりで、
募集媒体を使うのは初めて…という事務職の仕事です。
募集データの取材をさせて頂くと…
アルバイトさんの募集ですが、長期働きたい方を希望。
勤務時間はフルタイムですが、スケジュールによっては早出や残業が
必要な日もあり、なんだか不安定。
給与も決っして高くはありませんし、仕事内容も正社員募集以上にスキルを要する内容です。
そして、最後に改めて念を押されたのは、早出や残業のことをしっかり記載して欲しい。
それでも覚悟して働きたい…という方を採用したいと仰るのです。
その上で、掲載する媒体とスペース(広告の大きさ)は、
当時、私がご案内していた最小のものになりました。
しかし…、
その媒体が発売された当日。
オフィスには、朝から、有名アーティストのコンサートの予約のごとく電話が鳴り続き、
「もうその求人誌、お店から回収してきて…」とまで、
担当者に言わしめた応募状況になりました。
(もちろん「回収してきて…」は、嬉しい悲鳴の中での“冗談”ですが)
早々にご相談を受け、その後、まず履歴書や応募書類を郵送して頂いてから…の対応に
切り替えて頂きましたが、たった一人の採用目標に対し、170名以上が集まったのです。
この募集は、当時の六本木地域での“一人当たりの応募コスト”の記録を塗り替えました。
当事、アフターフォローを兼ねて、営業の一環として作成していた“募集・採用レポート”。
そのデータでは、なんと一人当たり200円台の計算になっていました。
セミナー等でこの題材をご紹介する時、
ここで、ちょっとだけ、会場の方に考える時間を取っています。
「さて、なぜでしょう…」と、隣の方と、自由にディスカッションして頂きながら…。
大きな会社ではない。
アルバイト募集だというのに、フルタイムで勤務時間も長い。
給与も決して高くはない。
正社員なみの仕事内容で、要高スキル。
募集・採用活動を、媒体を使って行うのも初めてで、掛けた予算は最小。
なのに、一人当たり200円台の応募コストが達成できた…。
次回は、この題材の種あかしの後、
『採用力』という考え方について、もう一段掘り下げていきたいと思います。2011.06.09