さて、いよいよ人材育成のコツについて、最後の項となりました。 最後に、もう2つだけご案内させて頂き、この項の締めくくりとさせて頂きます。
1.) 成長する主役は本人
これまでを振り返えると、『どう育ていゆくか?』と、なんだか“主役”が、企業や上司…
『育成する本人の周り』にあるように受け取られるそうですが、最後に改めて
『主役は、あくまでも本人』である…ということを押さえておきたいと思います。
弊社の自論でもありますが、『成長の“機会”や“環境”は提供できるが、 “成長”自体を提供することはできない』 という真理を忘れて人材育成にあたると、
これまでご案内したことは本末転倒になります。
私も経験がありますが、たくさんの応募者と面接をしていると、たまに、
『御社なら、より成長させてもらえる…と思い応募しました!!』と
元気に言い放つ応募者が現れます。
そんな時、私は面接にもかかわらず、その方に、こう話をしています。
「環境も用意してあります。機会も提供しましょう。 いろいろなことを教えていきたいとも思っているし、心から成長を願っています。
けれど、最後の最後は、『成長させてもらうのでなく、自ら成長しようとする』人が、
より成長するものです。
自ら学び取り、自ら自分のものとし、自ら熟成させアウトプットできるようになるかは、
最後の最後は自分次第なんです。
これはとても奥が深いことですから、就職にあたって“成長させてもらえる”という
会社選びや仕事感…それ自体をもう少し深く考えてみると良いです」と。
あくまでも主役は自分であること…。
本人が、ここを腹に落としていることがとても大切なのです。
2.) 時代が求める…『自走進化型人材』へのステップ
そして、同じ“環境”、同じ“機会”の中で、より高みへと成長する+αの力が、『自走力』です。
『自ら成長を加速させる力』と言っても良いでしょう。
私はこれを『自走進化型人材』とか『自走進化型組織』…という表現で発信していますが、
最後の最後に、時代の変化の中で、この『自走進化型』がキーワードになってきている
ことについてご案内しておきます。
振り返ってみると、1980年代までの高度成長時代は、育成の“主役”は
企業や上司側でも、ある程度は上手くいく場面も多かったと思います。
市場が求める価値提供の構造もシンプルでした。
新人は、とにかく組織の一員として『定型業務』を覚えこなせれば
ある程度の価値提供に繋がり、一人前として認められていきました。
しかし、時代の変化と共に、経済環境はより厳しくなり、競合環境も激しくなり、
『定型業務』だけで提供できる“価値”は、どんどん“目減り”し、少なくなってきました
仕事内容も、ノウハウも、業界によっては商品構成さえも…
より高度に、より複雑化しているのではないでしょうか。
こういう時代には、『変化に対応すべく、自ら考え、自ら新しいやり方や創意工夫を 生み出す力』 が、一人前の証に代わってきます。
これまで自社が『お客様に選ばれていた理由』は、どんどん当たり前のものとなり、
競合他社は次々とより良いもの、より魅力的なものを生み出してきています。
目の前のお客様が“満足する価値提供のレベル”は、少しづつ高くなり、
同じ“価値提供”を繰り返していると、やがてお客様から“卒業”されてしまう時代…。
市場の要望が高度化し、多様化し、複雑化しているのですから、
「これまでのやり方≒定型」だけでなく、「変化に対応するやり方≒非定型」までを こなせることが一人前…という時代になってきているのです。
時代の変化は、『自ら考え、自ら新しいやり方や創意工夫を生み出せる』ことこそが、
今の時代の成長の証ですよ…というメッセージを発信しています。
そこで注目されるのが、『自走進化型人材』です。
ただし、一足飛びにそういった人材になっていくことは稀。そこへのステップとして、
先日、ある社長さまとお話させていただく中で、こんな会話がありました。
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組織を束ね、人を育てる立場の方にとって、最もご苦心されるところが、
最も腕の見せ所であり、そして最もやりがいがあり、面白いところだったりします。
人材を育成する…ということの本当の醍醐味と素晴らしさを、
わくわくしながら、楽しみながら享受していただく…
そこに、このコラムが少しでもお役に立てば幸いです。 2011.01.25