それでは『育成方針』ってどうやって明確にするの?…というご相談も多く戴きます。
またまたワールドカップで盛り上がっているサッカーの例で恐縮ですが、
今回の岡田ジャパンの戦略は『組織力』とか『選手間の連携』とか『セットプレー』という
キーワードが飛び交っています。ひとりの選手の個人技に頼るのではなく、
チームとして繋ぎながらセットプレーで点を取るという戦略です。
この戦略の組織で、ひとりひとりに求められるのは、正確なショートパスや、正確な連携力。
新聞等でも、ひたすら連携プレーとセットプレーを練習している…と伝えています。
よって岡田ジャパンでは、ショートパスやスルーパス、セットプレーの上手くなった選手を
『成長』と見なし、評価して、積極的に起用します。
一方、個人技やドリブル力で突破し、強烈なシュートで点を取る戦略のブラジルや
アルゼンチンでは、そうはいきません。
選手間の連携よりも、徹底的に磨きぬいた個人技が成長と評価の証です。
サッカーも組織運営も、ある意味、ここは同じなのです。要は
『育成方針は、企業方針や組織戦略の延長線上にある』ということです。
組織が異なれば、同じことを身に着けても評価が分かれることもあるわけです。
例えば、『価値優位』を企業戦略の中心にしているあるメーカーさまは、
「新しいことに挑戦すること」「創造的なこと」を育成方針の一環においていますが、
逆に『価格優位』『量で勝つ』ことを企業戦略の中心にしているメーカーさまは、
「行動量がこなせること」「定型業務の習得」を育成方針の一環においています。
かたや「質の向上」や「0から1を創りだすこと」を求め、
かたや「量の確保」や「引いてあるレールをしっかり走ること」を求める。
求めるものが『質』と『量』ですから、育成の方向性は全く違ってきます。
これらは、一般的に、下図のような流れで策定していきます。
『企業理念』『全社方針』から始まって、『内的要因』『外的要因』の分析を経た
『組織方針』。そこから導き出される個々のメンバーに『果たして欲しい役割』 ・
『生み出して欲しい成果』 、個々の『成長設計』。
そして、それを更に掘り下げると、そのために『必要な「知識」』 ・
『身に着ける「スキル」』 ・ 『望ましい「具体的行動」』が明確になってきます。
自社は『○○という強みをもち、◇◇を戦略とする』。
だから、『□□をもって成長とする』。
この一連の流れを、まず、徹底的に共有することが大切なのです。
自社は何をもってお客様に選ばれてようとしているのか?
自組織は何をもって売上をあげ利益を生み出すのか。
『育成方針』は、ここを掘り下げた先で、明確になっていきます。
2010.06.26