サッカーのワールドカップで、一躍注目の本田圭佑選手。
デンマーク戦で無回転シュートが決まった瞬間は、深夜にもかかわらず、
思わず私も歓声をあげてしまいました。
例えばですが…この本田選手が一生懸命、『野球』の練習をしていたとします。
バッティングや守備が上手くなり、ホームランを量産できる力がついた…として、
果たして岡田監督は、『うん、本田は成長したなぁ』と認めるでしょうか?
笑いごとではありません。
悪気はないのですが、知らず知らず、そんなことをしている企業さまは意外に多いのです。
たくさんの企業さまのお手伝いをする中で、『人材育成』の問題を考える時、例えば、
本田選手に一生懸命野球の練習をさせておいて、『何であいつは成長しないんだろう?』
…という現象に陥っているような企業さまに、多々出会ってきました。
自社で発揮すべき『成果』…そのために必要な『知識』や『スキル』、『大切にする考え方』、 こういったことを明確にしないまま、『成長』を求めている状態です。
個々人がそれぞれの考え方で当て外れの努力をしていますから、努力は空回りして、
組織や企業への貢献になかなか結びつきません。
そうして、『あいつは、なかなか成長しないなぁ…』と、周りも当人も当惑してしまう。
でも、当人が全く努力していないケースは、ほとんどありません。
多くの場合、当人は当人なりに一生懸命努力しているのです。
けれど、『努力が空回り』してしまっている…とても、もったいない状態です。
これらの『努力を空回りさせてしまう』ことの原因は、自社や自組織が、
サッカー選手として育てるのか、野球選手として育てるのか…
『育成方針が明確化されていない』
ことによる齟齬がほとんどです。
自社はサッカーをやるのか、野球をやるのか…
これにあたることを、まず明確にし、それぞれのメンバーとしっかり共有する。
この当たり前のことがちゃんとできているか、自社を見渡してみてください。
サッカーをやることを明確に示したなら、選手は自然に「バッティング」や「守備」の
練習ではなく、「パス」や「ドリブル」や「シュート」の練習をはじめます。
自社や自組織としての
『育成方針を明確にし、全員と徹底的に共有する』
。
人材育成の最初の入り口は、まずここを抜きしては始まりません。
2010.06.23